思春期の適正な骨格形成には、遺伝体質に加えて、ミネラル吸収に寄与する免疫活性昂進に資する食品の継続摂取と適正な腸内環境維持が必要である。本研究では便秘気味の女子学生44名(平均年齢20.2±3.3歳)に1名あたり漬物試験食30gずつを2週間継続的に摂取させた。漬物摂取試験は3群:3.0E+3 CFU/試験食のLAB(Lactobacillus brevis subsp. coagulans)を摂取する生菌試験食群(n=14)、滅菌加熱処理した死菌摂取群(n=15)および生菌試験食から乳酸菌を除去したプラセボ群(n=15)とした。生菌試験食、死菌試験食中のγ-aminobutyric acid (GABA)濃度は1試験食あたり75.1±3.2 mgで顕著な差はなかった。死菌摂取群の血清中の自然細胞キラー活性(NK)活性(% specific lysis)は摂取前37.5± 17.0から摂取後47.7±20.1%となり、統計学的に有意な効果がみられた(p<0.01)。生菌摂取群とプラセボ群では、摂取前後で統計学的に有意でなかった。便秘群被験者の排便日数は、死菌摂取群において3.8±1.5日から 4.9±1.8日と有意に増加したが、生菌摂取群では4.6±1.5日から 5.1±1.7日というわずかな変化であった。排便時において残存感の減少とすっきり感の向上がみられた。 以上の結果、乳酸菌死菌を含む漬物を摂取した便秘群被験者において、顕著なNK活性促進効果及び排便症状の改善が示された。わずか0.2gずつの日常摂取で1 兆個の死菌乳酸菌の摂取が可能となり、免疫活性の昂進及び便秘改善が遂行されうる。日常の食生活行動を追跡することが、思春期女子健康保持に重要であると結論した。
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