基礎的な理科教育力を有し,先端科学技術,自然環境など,現代社会が抱える問題を理解し,児童・生徒に伝える能力を持った教員を育成・養成する上で必要とされる大学での理科担当教員養成のためのスタンダード・カリキュラムを追究し,理科教員養成カリキュラムのモデルを構築することを目的とするため,(1)米国と欧米の理科の教員スタンダード・カリキュラムを調査・分析し,日本の大学のカリキュラムと比較し,(2)小学校教員養成における大学学部での理科のスタンダード・カリキュラムを試作し,(3)小学校学習指導要領理科との関係と大学での授業の運用を検討し,(4)中学校で理科を教える教員に必要なminimumrequirementに関するシンポジウムを開催し,(5)小中学校の学習指導要領に定められている項目から先端科学に触れる内容を指導するための実験・観察教 材を開発した.特に,現行の小学校の理科の教科書は,観察・観測・実験を中心に構成されている.学習指導要領理科の項目を網羅して観察・観測・実験の内容を取り入れる大学での授業をモデル化すると,現行の教育職員免許法の範囲の中では時数が不足することが分かった.また,生物と地学の内容は,個々の観察,観測,実験に時間を要すること,内容が多岐に及び専門の教員を揃えることを要するので,網羅することは難しい.そのため,授業時数を増やす必要があることが分かった.
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