本研究では、定常的に行われているオンライン学習において、学生のノートテイキングの内容を分析し、学生が注意を向けて理解しようとした学習情報を明らかにする。これらを基に、授業方法、学習指導、教材作成などを改善し、学習成果への効果を確認することを目標にし、本年度は下記の成果を得た。 大学で情報技術を活用した講義形式の正規授業において、学習者のノート記述内容を分析し、講義内容や教材内容がどの程度記録されているかを分析した。特に、オンライン学習だけの授業とブレンディッド型の授業で、ノートテイキング内容の違いを授業期間で継続的かつ定量的に比較したところ、教員が板書する以外の情報も記録する望ましいノートの割合は、対面型授業の方がオンライン学習だけの場合よりも有意に高かった。また、ノートの評価は小テスト得点やレポート得点などの学習成果と有意な相関関係が認められることを明らかにした。学生のノート評価に関係する学習者特性を明らかにするために、性格検査、情報リテラシーを測定し、ノート評価との関連を分析した。 さらに、小グループによるオンライン学習における、協調学習過程を明らかにするために、学生間でオンラインで共有されたノートを活用する授業を研究協力者が担当する米国大学の正規授業で実証し、利用可能性を検討した。 ノートに記述された内容の意味分析を行うための方法として潜在意味分析の適用可能性を調べ、今後の分析方法を検討した。
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