本研究の目的は、映像メディアツール開発を通した観察研究方法論の構築である。平成22年度の最も重要な成果は、開発してきた観察記録ツールCAVSceneが製品化され、一般の人にも使えるようになったことである。保育や教育現場でも実際にCAVSceneを購入し、日々の保育記録、ビデオカンファレンスで利用されるところまできている。これは実験的に試用する段階のレベルをはるかに超えている。しかし、実際の利用事例や利用方法をみると、現場のユーザのニーズと製品化されたCAVSceneの機能にはまだ隔たりがあることが見えてきてた。そのため、平成22年度は以下の機能付与・システムとデザインの改善を行った。 (1)CAVSceneの改善要求事項の抽出と高機能化 当該ツールのユーザの要求を受けて(1)サムネイルエリア拡大機能、(2)印刷機能、(3)シークバー機能、(4)UNDO機能を実現した。デザインに関しては、(1)サムネイルバーにタイトル及び記録時間表示切り替え機能とデザイン、(2)サムネイル枠マーキング表示機能とデザイン、(3)各サムネイル上におけるテキスト入力機能とデザイン、(4)サムネイル表示上におけるテキスト入力切り替え機能とデザインが検討された。 (2)映像認識に関わる情報検出のための基礎的実験 映像として記録されたシーンと言語的検索との融合的解決を実現するための基盤技術として、シーンに付与された付箋に記載された文字情報に注目し、任意のキーワードをクエリとした検索と結果の表示機能を実現した。
|