研究概要 |
最終年度である「映像メディアツール(CAVScene)の開発を通した観察研究方法論の構築」の成果は以下のとおりである。 1. CAVScene-iPad版のデザインと実装:本年度はCAVScene-iPad版を一般利用が可能なレベルにまで仕上げた。さらに、新iPad,iPad miniが発売されたことから、それらの機種にも対応した開発の見直しをおこなった。特にiPad miniが小型軽量化されることで、より観察記録ツールとして適正な装置となった。CPU性能・撮影画像解像度・インターフェイス特性・カメラの装備・ハンドリング・普及率など、より理想的なツール開発をおこなうことができた。 2.フィールドでの実用化と普及:実践におけるツールの利用として、保育所・幼稚園・小学校のフィールド、さらに、生物観察や医療現場による応用も実施することができた。 3. 観察方法論の構築:本研究で開発してきたCAVSceneは、観察中の認識の仕方を変えたのみならず、観察後のカンファレンスにおける観察の結果の共有と議論の仕方を大きく変化させた。これらの研究成果について、学術研究のみでなく、一般書によっても紹介し、教育現場にも広く還元することができた。本研究チーム3名による3年間の集大成として『ワークショップと学び第3巻』 (東大出版会, 2012) で開発デザイン、技術、実践の観点から論じられている。 4. 教育現場における観察方法論の発展:観察と記録の可視化を保育実践に取り入れて世界的に注目されたレッジョエミリア市(イタリア)の幼児教育を調査し、その結果を授業研究や保育研究の新たな可能性として提示していくことができた。保育研修、ワークショップ、シンポジウム、講演など様々な形で行った。
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