研究概要 |
学校教育が直面している学校評価や教育改善等の組織経営的な課題に対して情報システムとしての機能を適用し,改善活動を支援する教育経営情報システムを開発するための基礎的な知見を整理した。 教育経営情報システムは,校務支援システムを包含する概念として考えると授業支援や学習支援等の関連サブシステムを有機的に位置づけた総合的な情報システムとして構想できる。このよう教育経営情報システムの事例として,韓国における教育行政情報システム(NEIS:National Education Information System)の進展経緯について調査資料から整理した結果,進展は段階的であり,効率化(省力化)から問題解決支援へと遷移しはじめ,学校内部から行政機関との接続を踏まえて家庭・子どもへと情報化の恩恵を受ける対象が変化することが示唆された。また,国内調査の整理結果でも情報システムの規模は異なるものの同様の進展段階が見られた。これらの調査から,進展段階を踏まえて教育経営ビジョンを策定しながら情報システムを進展させることの重要性が指摘された。さらに,学校経営にICTを手段として活用し,情報マネジメントを実践した学校長の取り組みをインタビューにより紐解き,その意図や工夫の関係性やなぜそこにICTを活用するのかを関連づけて見える形にすることを試みた。また,全体像を整理するために,日本経営品質賞(JQA)の枠組みを活用し「経営」という観点からの整理をより明確にした。これにより,学校経営においてICTを手段として活用している成功例をモデル化し,これからICT利活用を考える学校や管理職等の参考となる検討資料を得ることができた。
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