研究概要 |
1.映画に記録された各場面に対して網羅的で詳細な技術史的検討 「黒部ダム」「井川ダム」建設の技術映像について,シーンに分解し,各シーン毎における技術,使用されている土木機械,発揮された技能などの諸事項を,土木学会技術映像委員会メンバーの協力を得ながら記述を行なった。 シーンごとに被写されたすべての事項に対し,工事記録などとの照合を図り,詳細に情報の裏付け作業を行った。特にオペレーションに関わる事柄について,土木学会誌などの技術雑誌や,ダム建設工事関係者などのヒアリング等により,内容情報の記述を試み,基礎となるデータベースを作成した。これらの作業により,予定した技術記録映像3本の検討が終了した。この作業のなかで,東京帝国大学卒業生同窓による技術コミュニティの存在が見いだされ,技術開発における技術者コミュニティの役割について検討をさらに行なうこととなった。 2.複数映画から求めるシーンを横断して抽出する映像情報システムの構築 23年度に検討を行なった映像情報データベースおよび配信システムの仕様を決定し,プロトタイプ・データベースを構築した。データベースについては,アクセス時のセキュリティを考え,VPNを用いて,愛知文教大学内に設置したサーバーを利用するものとした。これまでにサーバーの設定を終え,Windows,MacOSなどからのアクセスの確認をほぼ終了した。 なお,データベースでの検索においては,現場において使われている言葉に類義語が多く,その処理が次年度の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者および研究協力者のチームワークにより,映像情報データベースに入力するデータの準備が進んだ。また,画像情報データベースに連動した画像ストリーミングは威信の準備も順調に進んでおり,ほぼ予定通りに進んでいる。さらに,研究を支援する土木学会技術映像委員会との連携も図れており,24年度の研究協力も可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度になる。これまでに準備を進めてきたデータベースについて,ランダムアクセス可能な動画配信を1年間に限定して試み,申請者や申請者以外の技術史および社会史分野の研究者,ならびに過去のダム建設に関心を有する技術者などに対して,史料活用の利便を提供を行なうとともに,技術史史料としての産業映画の保存と活用の方策について,これまでの検討結果を取りまとめる。
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