研究にあたっては,現地における文書記録類(公文書,ドキュメント等)の収集に力を入れた.このため,研究代表者の市川,研究分担者の梶,研究協力者の藤岡毅(同志社大学・嘱託講師),金山浩司(日本学術振興会・特別研究員PD),齋藤宏文(東京工業大学・教育工学開発センター・特任助教),をモスクワなどに派遣し,当地の科学アカデミー文書館などで資料調査に従事せしめた. 最終年度となった本年度は研究成果の発表にも力を入れた.2012年4月にはロシア科学アカデミー・自然科学史=技術史研究所第18回年次学術集会に市川を派遣し,研究発表を行わせた.同年6月にウィーンで開催されたThe 2nd International Workshop on Lysenkoismには藤岡,齋藤,金山の3名を派遣し,藤岡,齋藤には研究発表を行わせた.また,同年10月に開催されたロシア史研究会大会の場において,アメリカからスラヴァ・ゲローヴィチ氏,カナダからアレクセイ・コジェフニコフ氏を招き,これに金山を加えて,本科研提供によるパネル企画「科学とソヴィエト権力-対抗・協調・縺れ-」を開催した(以上,研究協力者・ゲストの実名表記については本人承諾済). 昨年度末に開催された日本科学史学会生物学史分科会と共同のシンポジウム「ルィセンコ事件再考」の成果は同分科会の雑誌『生物学史研究』№88に特集され,2013年3月に刊行された.また,上記ロシア史研究会でのパネル企画の成果は,日本科学史学会の欧文誌=_Historia Scientiarum_Vol.22 No.3に特集された.このほか,昨年度に引続き,本科研独自の論集として(『“科学の参謀本部”―ロシア/ソ連邦/ロシア科学アカデミーの総合的研究―(平成22~24年度日本学術振興会科学研究費補助金[基盤研究(B)]研究成果中間報告)』Vol.3)を刊行した.
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