研究課題/領域番号 |
22300306
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
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研究分担者 |
山田 昌久 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (70210482)
那須 浩郎 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 特別研究員 (60390704)
米田 穣 東京大学, 新領域創生科学研究科, 准教授 (30280712)
姉崎 智子 総合研究大学院大学, 群馬県立自然史博物館, 主任 (50379012)
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キーワード | 岩陰 / 動物考古学 / 民俗考古植物学 / 縄文時代 / 古環境 / 同位体分析 |
研究概要 |
生物考古学(環境考古学)の手法により内陸部の岩陰遺跡における先史時代の環境と人間活動を総合的に研究することを目的に、長野県天狗岩岩陰遺跡の発掘調査を行った。本科研では、昨年度、北相木村のノンコ岩I岩陰遺跡において調査を開始した。炭化物や獣骨破片が検出され、年代測定の結果縄文時代晩期の遺物が存在することが確認されたものの、遺構や文化層は発見できず、落石層のため発掘を継続することが難しいことがわかった。そこで当初の予定を変更し、23年度からは、同じ相木川沿いで少し下流の小海町にある天狗岩岩陰を新たな調査対象とした。23年度の発掘調査により、古墳時代末の土器片、炉跡と灰層が検出された。この他、シカ、キツネ等の獣骨片70点余り、淡水産貝類20点余り、炭化したオオムギ約30粒が検出された。この岩陰では、佐久考古学会による1995年に試掘調査で弥生時代の遺物が出土しており、今回発掘された層の下に弥生時代の文化層があるのは確実である。さらに下層から縄文時代の遺物が出土するかどうかが、今後の調査の焦点となる。 23年度は、考古学、動物考古学、考古植物学、先史人類学の研究者が共同して調査を行った。従来の考古学発掘主導の調査ではなく、高精度の古環境情報を有効に抽出し、人工遺物や遺構などに関する考古学的な情報を統合する研究手法の確立をめざすという当初の目的に沿った現地調査を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度は、発掘調査の対象とする遺跡を変更し、天狗岩岩陰遺跡の調査を行った。上層で古墳時代の土器と炉跡が出土した。佐久平には古墳時代の遺跡が存在し調査されているが、山間部でこの時期の遺物が出土することは珍しく、重要な成果ではあるが、23年度は本来の目的である縄文時代層まで達することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
天狗岩岩陰遺跡では、以前の試掘調査の結果から、23年度に発掘した層の下に弥生時代の文化層が存在することは確実である。この弥生時代の層を発掘した後に、縄文時代の層が確認できるかどうかが今後の研究の焦点となる。 過去の落盤による落石が堆積している可能性が高く、これを速やかに取り除くことが必要である。落石の堆積があった場合は、削岩機を用いて速やかに取り除く計画である。
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