研究課題
本研究は、これまで研究代表者が総合地球環境学研究所のプロジェクトとして行ってきた研究の継続であるので、初年度である22年度はまず、その先行研究の成果をまとめ発表する作業を主な活動とし、本研究のテーマを新しく始める体制を整えた。その一環として、先行研究で残されていた課題についての調査研究も行い、先行研究の成果を完全なものとすることにつとめた、先行研究で残されていた課題の調査研究としては、新疆ウイグル自治区・小河墓遺跡周辺における土壌ボーリング調査を、海外協力者であるイディリス・アブドゥラスル(新疆文物局)率いるチームによって実施した。結果、約6,000年前から現在までの間に、現在は砂漠である遺跡周辺が湿地であった時代が3期存在し、その1期が小河墓遺跡の時代に当たることがわかった。すなわち、小河墓遺跡の時代には水が豊かであった環境が、過栽培などの原因で現在のような不毛の地になった、という研究代表者らのかねてよりの仮説に、一層確実性をもたせることができた。先行研究の成果まとめおよび発表としては、国際シンポジウムの開催および日・中両国語の研究報告書の作成を行った。国際シンポジウムは、新疆文物局・北京大学・吉林大学との共催で、北京において2010年11月に実施した。日中双方から計15名の諸分野の研究者が、小河墓遺跡に関する研究成果を発表し意見を交換し合い、新疆ウイグル自治区の考古学調査にかつてなかった規模の学際的調査としての成果を認識した。報告書については、本研究費のメンバーの中から、シンポジウムで発表した日本人メンバー6名(共著者含む)の成果報告原稿を中国語訳し、中国側研究者の原稿と併せて出版すべく、編集に当たる海外協力者の元へ提出した。来年度の本研究費を利用して、製本・出版する予定である。
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