研究課題/領域番号 |
22300314
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 安隆 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70134442)
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研究分担者 |
狩野 謙一 静岡大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30090517)
宮入 陽介 東京大学, 大気海洋研究所, 研究員 (30451800)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 地形 / 山脈形成 / 地殻厚化 / アイソスタシー / 活断層 / 表面照射年代 |
研究概要 |
約 50 Ma から始まったインド大陸とユーラシア大陸との衝突に伴ってヒマラヤ―チベット山塊は成長を始め,20-30 Ma にほぼ現在と同じ高さに達したと考えられる.これ以降ヒマラヤ―チベット山塊の上方への成長は頭打ちとなり,かわって側方への成長が始まった.この側方拡大を現在最も生々しく観察できるのはチベット高原の北東縁部である. ALOS衛星の立体視画像を用いてチベット高原北東縁の変動地形を捜索した結果,クムコル盆地に波長40 kmに及ぶ大規模な活褶曲(複背斜構造)が存在することが分かった.本地域の活褶曲は波長が40 kmに及ぶ大規模な構造であるから,その成因は地殻深部まで及ぶ断層運動ないし地殻深部における流動変形によると考えられる.衛星画像解析により,この複背斜構造を横切って時代を異にする数段の扇状地群が発達し,それらは過去十数万年間の変形を記録していることが分かった. 前年度に実施した当該地域の予備的な現地調査では,道路状態の悪さと湿地帯に阻まれクムコル盆地の核心部には到達できず,盆地東縁部まで到達するにとどまったので,今年度は河川や湿地帯が凍結する晩冬期に現地調査を行い,クムコル盆地核心部での試料採取と地質構造調査とを行った.その結果,調査地域核心部の数地点において十分な量の表面照射年代測定試料を採取することに成功した.また,昨年度に採取した試料の処理と表面照射年代測定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,クムコル盆地核心部に到達するために,河川・湿地帯が凍結する晩冬期に現地調査を行い,十分な試料を採取することに成功した.また,昨年度の現地調査によって得られた試料の表面照射年代測定も実施した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成25年度には,クムコル盆地核心部において採集した試料の表面照射年代測定を行い,その結果を解析して国際誌に投稿する予定である.
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