研究分担者 |
岡本 耕平 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90201988)
今井 修 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 客員研究員 (80401305)
山下 潤 九州大学, 比較社会文化研究科, 准教授 (90284562)
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
西村 雄一郎 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (90390707)
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研究概要 |
海外での参加型GISの情報収集のために,イギリス,アメリカ,カナダの研究者からヒアリングを行った.また,アメリカ地理学会(AAG)年次大会に参加して,PPGISの研究動向について情報収集を行い,GeowebやVGI(Volunteered Geographic Information)への関心が高まっていることがわかった. 国内におけるPPISの事例については,都道府県を対象にアンケートを計画したが,東日本大震災で東北日本での実施が困難になったため,再調査を行う予定である.また農山村での事例として,島根県飯南町谷地区を対象にした地域づくりの場面でのGISの活用の方法を検討した.住民とともに地域資源発見マップ作成のワークショップを開催し,カントリーウォークを実施した結果,PPGISが地域づくりの方法として一定の効果があることが確認できたが,今後は継続的活動につなげていくかが課題である. 防災分野での応用については,東日本大震災の際に有効性が高まった地理情報技術を活用したソーシャルメディアの利用法について検討を加えた.また,災害時の外国人向け防災情報提供について東日本大震災の被災地で調査を行ったほか,インターネットから得られる国勢調査の小地域統計を使って市民が自ら地域の地理的状況を理解するためのマニュアルを開発中である. 防犯については高岡市と札幌市で通学路の安全マップ作成を行い,福祉については子育て支援マップの事例を調査した. 途上国開発への応用については,開発論の分野における「参加型GIS」研究のレビューをおこなった.また,参加型GISの実践例であるコロンビアのサンアンドレス諸島から漁業者を招へいし,同様の漁場をもつ沖縄島の各漁協を訪問して「参加」や漁場運営に関する状況の差異を調査し,これを踏まえてワークショップでサンアンドレス諸島における「参加型沿岸開発」の問題点を議論した.
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災の発生により,災害への関心が社会的に高まっている現状をふまえて,防災への応用に重点をおいた調査研究を行う予定である. 日本での実践的な事例については,島根県飯南町だけでなく,石川県七尾市,岡山県西粟倉村,東京都豊島区などでも調査を計画しており,それらから得られた知見に基づいてPPGISの方法論と課題を整理したい.
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