研究課題
平成24年度は、研究課題について補足的な調査・分析を行うとともに、とりまとめのミーティングを開催し、研究成果を2013年日本地理学会春季学術大会のシンポジウムで発表した。得られたおもな知見は以下の通りである。1.日本のPPGISの展開過程を整理した上で、残された課題を検討したところ、データやハード・ソフトの普及は進んだものの、それを使いこなす人材育成が必要であることが判明した。そこでは空間的思考を含めた地理学的技能が大きな役割を果たすと考えられる。2.欧州での取り組みを調べるために、オランダのITCのDenters教授やCTAのRambaldi博士等への対面調査を行った。その結果、オランダでは第三世代の市民参加が展開中であること、PPGISトレーニングキットが開発されGIS教育・実践に活用されていることが明らかになった。このことから、PPGISの実践には資金・人材等の影響もあるとはいえ、GIS教育や市民参加の仕組みが密接に関係しているといえる。3.日本でのPPGISの事例について調査を行った。富山県の小学校における地域安全マップ作りと防犯活動の実態を調査したところ、GISよりも紙ベースの地図が効果的であることが明らかになった。愛知県における洪水ハザードマップ作りの事例については、NPOと行政との関わりを調査し、活動が盛んな地区とそうでない地区での格差が拡大していることが判明した。カウンターマッピングの事例として、東日本大震災後の自治体や市民による放射線の測定と地図化をとりあげ、活動の意義と課題を考察した。4.途上国での事例として、カリブ海域における海洋保護区設定に際して、漁業者と行政機関の交渉過程で用いられたGISの役割について検討した。その結果,PPGISが地域の多様なローカル知と利害関係を調整し、漁業者の交渉力を高める可能性のあることが明らかになった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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