研究課題
1)難治がんモデルの作成とNF-kappaB活性化との関連の検討胃特異的HER2トランスジェニックマウスを作成した。その結果、胃の過形成を引き起こすことが明らかとなった。またNF-kappaBの活性化が観察された。膵特異的oncogenic K-ras発現と膵特異的TGFbetaレセプターIIノックアウトによってヒトの膵臓癌に病理学的に近い癌が観察されるが(Ijichi H et al.Genes Dev 2005)、このマウスにIKKbeta floxedを交配することにより、その影響を検討した結果、腫瘍発生は抑制された。その腫瘍より細胞を樹立し、解析の結果アポトーシスの亢進が明らかとなった。2)恒常的IKKβ活性化マウスの作成恒常的IKKβ活性化が発癌に及ぼす影響を検討するため、恒常活性型IKKβ(IKKβEE(S177E,S181E))を胃、腸で強く発現するCK-19プロモーター下に発現させた。7か月目までは大きな異常は見られなかったため、炎症モデルを用いた検討した。DSS腸炎を用いた検討では、炎症が悪化の傾向を認めた。3)IKKbetaによるDNAダメージ応答胃癌などは食物中のアルキル化物質などによって、DNAダメージを受けている。一方NF-kBはDNAダメージにて活性化される。その働きの解析の目的でIKKノックダウン細胞を用いて、DNAダメージ応答について解析したところ、IKKbetaはDNAダメージにより、NF-kappaB活性化とは無関係にATMをリン酸化し、DNA修復に働いていることが明らかとなった。
3: やや遅れている
マウスの交配状況があまりよくないため。
マウスの交配は復活傾向であり(施設の感染のため)、今後は研究の推進が期待できる。恒常的IKKβ活性化マウスについては作成したマウスのIKK発現量が少ないため、フェノタイプが出ないと考えられる。現在、新たに再作成することを考慮している。
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