• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

紡錘体形成を標的としたがん治療分子標的の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22300321
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

八尾 良司  公益財団法人がん研究会, がん研究所・細胞生物部, 主任研究員 (80291095)

研究分担者 長崎 光一  公益財団法人がん研究会, ゲノムセンター, 研究員 (90250208)
キーワードがん治療標的 / 細胞分裂 / 紡錘体 / TACC3
研究概要

がん細胞に特異的な細胞分裂機構を同定するために、紡錘体や中心体等の制御に関わる141個の遺伝子について、ヒトのがん組織における発現解析を行なった。その結果、がん組織で二倍以上の発現亢進が見られた遺伝子は、7種すべてのがん組織での亢進が9個、6種のがんでの亢進が10個、5種のがんでの亢進が5個であった。
がんの発生過程には中心体の増幅による染色体の異数性の関与が知られている。そこで、上記の遺伝子のうち、乳がんおよび卵巣がんで正常組織の10倍以上の発現亢進を示し、さらに大腸がん、食道がん、子宮がんで5倍以上の過剰発現していた中心体制御に関与する分裂キナーゼに着目した。生体内での機能解析を行なう目的で、Flp/FrtおよびCre/LoxP系を用いたコンディショナルノックアウトの作製を行い、相同組換体ES細胞の取得、キメラマウスの作製を経て、germline transmissionを確認した。現在、各種deletorstrainを用いた正常組織での解析とがんモデルマウスに自然発症する腫瘍における機能解析を進めている。
本研究では、TACC3をp53欠損マウスに自然発症する胸腺リンパ腫欠損させると腫瘍の退縮が生じる事を示した。そこで新たにリンパ腫細胞株を樹立し、in vitroでの解析を行なったところ、Tacc3欠損により多極紡錘体が発生し、細胞分裂の停止、細胞死の誘導が生じる事が明らかになった。
TACC3は上記のヒトがん組織における発現解析において、大腸がんを含む5種のがん組織で発現が亢進していた事から、Apcコンディショナルノックアウトとの交配を行いさらに腸上皮でCre組換え酵素を発現するVillin-Creアリルを導入し、Tacc3S/D,ApcS/W,Villin-Creマウスを作製した。その結果、Tacc3を欠損する事により、顕著な腫瘍数の減少が確認された。診

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトがん組織における発現解析では、がん研究会ゲノムセンターで作製されたデーターベースを有効に活用する事で、予想以上の数の候補遺伝子を見いだす事ができた。また個体レベルでの解析では、がん研究会・がん研究所の保有するがんモデルマウスやdeletorマウスを用いる事により、順調に解析対象マウスを作製する事ができた。

今後の研究の推進方策

本研究で見いだしたヒトがん組織で発現が向上している遺伝子については、順調にマウスの作製が進んでいるので、今後個体レベルでの機能解析を行なう。
TACC3の解析については、Apc遺伝子変異により生じる消化管腫瘍を抑制することが明らかになっているので、遺伝子変異直後の初期の病変について解析を行ない、腫瘍発生過程について詳細に検討するとともに、TACC3の機能解析を行なう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Disruption of Tacc3 function leads to in vivo tumor regression2012

    • 著者名/発表者名
      Yao, R., Natsume, Y., Saiki, Y., Shioya, H., Takeuchi, K., Yamori, T., Toki, H., Aoki, I., Saga, T. & Noda, T
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 31 ページ: 135-48

  • [学会発表] TACC3による中心体紡錘体とキネトコア紡錘体の選択的制御2011

    • 著者名/発表者名
      八尾良司、夏目康子、矢守隆夫、野田哲生
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20111200
  • [学会発表] がんモデルマウスを用いたTacc3を標的としたがん治療法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      八尾良司、塩谷尚志、斎木由利子、野田哲生
    • 学会等名
      第70回日本癌学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20111000

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi