研究課題
標的とする膵臓組織を可視化するために昨年度クローニングしたPTF1やPDX1、Insulin、Nestinのプロモーター(2kbp~10kbp)の下流に蛍光タンパク質の遺伝子を繋いだコンストラクトを作製し、メダカ卵に微量注入法により遺伝子導入したところ、Insulin及びNestinのコンストラクトで膵臓組織特異的な蛍光タンパク質の発現が確認できた。その後、これらの個体を育て次世代での蛍光タンパク質の発現を確認したところ、Nestinで1系統、Insulinで2系統のトランスジェニックラインの樹立に成功した。一方、がん組織への血管浸潤を可視化するため血管可視化トランスジェニックラインの樹立に関しては、FLT1(血管全体)、EFNB2(動脈)、EPHB4(静脈)を含むメダカBACクローンに対して蛍光タンパク質の組換えを行い、シーケンシングにより設計通りに組換えに成功していることが確認できたが、これらのコンストラクトをメダカ卵に微量注入法により遺伝子導入しても血管での蛍光タンパク質の発現が確認できなかった。そこで、別の遺伝子としてfli1(血管全体)で同様にBACトランスジェニック作製を試みたところ、導入した約200個体中30個体で血管での蛍光タンパク質の発現が確認できた。また、赤外レーザにより発癌させる系統樹立に関しては、(1)ヒートショックプロモーター制御下でCreを発現する系統と(2)Cre発現によって、構成的プロモーター制御下で癌遺伝子が誘導される系統が必要であるが、(1)に関しては基生研の田中実研究室で作製に成功しておりこれを譲渡していただく手続きを進めている。(2)に関しては、現在、メダカβアクチンプロモーターの下流にloxPの2箇所およびそれらに挟まれた転写停止配列(STOP)からなるfloxed STOPカセット、さらにその下流にGFP-活性化Kras(KRasG12V)、SV40 largeT抗原を繋いだベクターも構築し、これを導入したTG(floxed STOP)メダカ系統も作製中である。
3: やや遅れている
Cre発現で癌遺伝子が誘導されるベクター構築に遅れを生じているため。
遅れを生じているベクター構築に注力し、トランスジェニック系統樹立に専念する。
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