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本申請は、細胞分散型の代表的腫瘍であるスキルス癌の播種と、細胞集団移動による高分化型癌の転移という二つの進展様式に特異的な分子・シグナル経路を同定し、治療応用を目指すものである。細胞分散型(播種型)の腫瘍浸潤の解析として、これまでにも用いているスキルス胃癌に加え、脳腫瘍で担癌動物モデルを作製した。ヌードマウスに脳内接種を繰り返す事で、広範に頭蓋内に播種する神経膠芽腫株が得られ、マウスにおける同腫瘍組織で機能しているチロシンリン酸化蛋白質を質量分析により同定した。その中でSKAP2はこれまで腫瘍細胞における機能が明らかでなかったが、神経膠芽腫などの細胞の移動に関与が大きく、アクチン骨格の形成に関る結果が得られ、解析を進めている。また癌の細胞集団移動に関して、発生組織との類似性から分子解析するアプローチを行っている。発生過程の神経堤細胞において細胞集団移動に関る事が知られているPCP経路に属する分子をとりあげ、癌細胞における細胞間接着や組織浸潤のメカニズム解明に焦点を当てた。RNA干渉による発現量の操作により、肺癌などの細胞において細胞間接着動態の大きく変化するβ-カテニン結合細胞質内蛋白質などがこれまでに確認できている。生体内の腫瘍の浸潤・転移のモニターを目指して、アフリカツメガエル胚に顕微移植したヒト癌細胞の生存、腫瘍形成性の条件検討を進めている。
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