研究課題
EML4-ALKがん遺伝子は我々が2007年に報告した肺がんの新規原因遺伝子であり、既に5種類以上のALK阻害剤による臨床試験が進行している。また最初に臨床試験を行ったALK阻害剤crizotinibは2011年8月に米国において薬剤承認が行われ販売・利用されている。我々の標的同定からわずか4年で特効薬が承認・販売されるに至ったのは抗がん剤の開発史上最速であり、このような急速なALK阻害剤の普及に際し、我々は本研究計画において、「ALK阻害剤耐性メカニズムの解明」と「EML4-ALK陽性肺がんの臨床診断法の確立」をテーマに検討を行った。前者についてはALK阻害剤治療中に再発した症例のうち、未治療時と再発後のペア検体が得られた計3例について、まずEML4-ALKcDNAのdeepsequencingを行った。その結果1例の検体から、再発時にのみEML4-ALKの酵素活性領域内に二次変異が出現しておりその変異が薬剤耐性の原因であることを明らかにした。特に、同変異はイレッサ治療に対してEGFRが二次変異を出現するgatekeeper部位そのものであることが示され、キナーゼを超えて共通の部位が薬剤耐性獲得に寄与することが示された。また臨床診断法については、EML4-ALKの様々なバリアントを一度のRT-PCR実験で検出可能なマルチプレックスRT-PCR法を確立し、これを用いて日本の肺がん症例の大規模な前向き検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
ALK阻害剤耐性メカニズムを世界に先駆けて2種類発見することに成功し、またマルチプレックスRT-PCR手法を開発して肺がんの臨床診断を前向きコホートで検証した。
研究計画は順調に進行している。平成24年度は、既に取得した薬剤耐性ペア検体のうちEML4-ALK内二次変異が陰性であった症例について、次世代シークエンサーを用いた全エクソンシークエンスを行い、EML4-A4LK異常以外の薬剤耐性二次変異の存在を明らかにしたい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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