研究課題/領域番号 |
22300333
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
上田 龍三 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (20142169)
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研究分担者 |
石田 高司 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80405183)
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キーワード | ATL / HTLV-1 / Tax / NOGマウス / CTL |
研究概要 |
ヒト自己免疫担当細胞移入 固形がん/ NOD/Shi-scid, IL-2Rγ^<null>(NOG)マウス モデルを構築する予備実験として成人T細胞白血病(ATL)/NOGマウスを用いたヒト自己免疫担当細胞移入システムの検討を行った。3例のATL患者末梢血単核球から、CD4抗体磁気ビーズにより単離したATL細胞を、NOGマウスに移入し、各臓器に浸潤したATL細胞におけるHTLV-1 Taxの発現をRT-PCR法により解析したところ、脾臓、肝臓においては、末梢血中に比べていずれも5-10倍強く発現していた。さらに腹腔内に形成された腫瘍における発現量は末梢血の約100倍であった。また、in vitro において短期間培養したATL細胞におけるTaxの発現を細胞周期との関連で解析したところ、細胞周期に入ったATL細胞において、Taxの発現が増強することを見出した。これらの所見は、Taxの発現は細胞周期に依存しており、末梢血中のATL細胞よりも、リンパ組織など、ATL細胞が増殖している局所において強く発現することを示している。また、ATL患者から誘導、増殖させた、Tax特異的細胞傷害性T細胞(Tax-CTL)が、短期間培養した同じ患者由来のATL細胞に対して特異的傷害活性を有することを世界で初めて明らかにした。これまでの諸家による報告では、患者ATL細胞におけるTaxの発現は極めて微量であること、ATL患者のTaxに対する免疫応答の低下から、Taxの治療標的としての有用性は乏しいとされてきたが、以上の発見は、TaxがATLの免疫治療における標的として十分機能しうることを示唆している。次に、自己Tax-CTL移入によるATL/NOGマウスに対する治療実験を行い、Tax-CTL移入したATL/NOGマウスにおいて、ATL細胞がほぼ完全に排除されることを予備的に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATL患者由来の腫瘍細胞、免疫担当細胞を用いた自己の系で、Tax-CTLによる治療実験により、腫瘍細胞が除去できることを予備的に確認した。今後、固形がんのシステムへのすみやかな移行が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
1.ATL/NOGマウスを用いたヒト自己免疫担当細胞移入システムによる、Tax-CTL移入療法モデルの確立と、ヒト化CCR4抗体(Mogamulizumab)による治療増強効果の検討。 2.1.を踏まえた固形がん/NOGマウスを用いたヒト自己免疫担当細胞移入システムによる、Tax-CTL移入療法モデルの確立と、ヒト化CCR4抗体(Mogamulizumab)による治療増強効果の検討。
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