研究課題
本研究では、薬学研究者(研究代表者)の腫瘍血管特異的なモノクローナル抗体開発を、工学研究者のイメージング素材、さらには、医学研究者の最先端分子イメージング装置と融合することにより始めて可能となる、医・工・薬連携のimmuno-PET/MRIによる、癌の超早期診断システムを開発しようとするものである。今年度は研究代表者がこれまでに同定してきた腫瘍血管マーカーに対する抗体(複数種類)について一本鎖抗体(scFv)および完全型抗体(IgG)のリコンビナント蛋白質を高純度かつ高収率で作製可能な系の確立に成功した。また、作製したリコンビナント蛋白質の基礎的特性を評価した結果、抗原リコンビナシト蛋白質に対し、特異的かつ極めて高い親和性で結合することを明らかにした。さらに、immun-PET(SPECT)/MRIへの応用を目指し、作製した抗体リコンビナント蛋白質に対するSPECT核種(^<123>I,半減期13時間)のラベル化条件の検討を試みた。その結果、抗体分子1分子に対し少なくとも1分子以上の^<123>Iをラベル化することに成功した。^<123>Iラベル化抗体蛋白質は腫瘍モデルマウスの腫瘍組織内へと速やかに分布し、24時間にわたってその分布を経時的に観察することが可能であった。PET核種の^<124>Iについても同様の手法が適用可能であることから、今後PETへの応用も容易に可能であると期待される。また、研究代表者は、既にMoldayIONといった微細なMRI用酸化鉄ナノ粒子表面に金を付与した複合ナノ粒子に対し、PEGなどで表面修飾することで、腫瘍検出用MRI造影剤の開発を行っている。そこで、本造影剤についてPEGを介して抗体蛋白質を修飾した造影剤粒子の作製を試みた。その結果、抗体:PEG:酸化鉄ナノ粒子=2:2000:1(分子数比)の分散性の高い造影剤粒子の開発に成功しており、本粒子が酸化鉄粒子本来のMRI造影能を保持し、抗原発現細胞に対し特異的に結合可能であることが示された。次年度は抗体及びMRI造影剤について、それぞれのin vivoでの有用性を更に詳細に評価するとともに、それらを融合し、PET/MRI同時計測用プローブとしての応用を目指す。
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J Biosci Bioeng.
巻: (in press)
Bioconjug Chem.
巻: 21(6) ページ: 1026-31
http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/kg-portal/aspI/RX0011D.asp?UNO=11573&page=2