研究課題/領域番号 |
22300337
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70207728)
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キーワード | MRI / SPECT / 癌 / イメージング / 金磁性ナノ粒子 / 腫瘍血管特異的抗体 |
研究概要 |
本研究では、薬学研究者(研究代表者)の腫瘍血管特異的なモノクローナル抗体開発を、工学研究者のイメージング素材、さらには、医学研究者の最先端分子イメージング装置と融合することにより始めて可能となる、医・工・薬連携のimmuno-PET/MRIによる、癌の超早期診断システムを開発しようとするものである。今年度は、MRI造影剤開発の一環として、昨年度確立したAb-PEG-Au/MoldayIONの作製系に従じ、実際に腫瘍血管特異的抗体としてVEGVR2に対するIgG型抗体リコンビナント蛋白質(V2-05iIgG)を用いて、V2-05iIgG-PEG-Au/MoldayIONを作製した。その結果、0.1mgAb/1.5mg PEG/mg FeでV2-05i IgGを修飾することができた。このV2-05iIgG-PEG-Au/MoldayIONとコントロールとしてCOOH-PEG-Au/MoldayIONをB16BL6腫瘍モデルマウスに投与し、マウス固形腫瘍モデルの造影を試みた結果、両者はともに、500μg/マウスで投与8時間後、及び24時間後に腫瘍組織の中央部が黒く造影されている様子が確認された。しかし、残念ながら両者の造影能の強度には差が認められなかった。 一方、昨年度確立した抗体のSPECT核種(1231,半減期13時間)でのラベル化方法を用い、腫瘍血管特異的抗体(V2-05i)を^<123>Iでラベル化し、Bl6BL6腫瘍モデルマウスにおいてSPECT画像を撮影した。その結果、投与24時間後において腫瘍集積性を確認することが出来、腫瘍のイメージングプローブとして使用出来る可能性が示された。 今後、それぞれのin vivoでの有用性を更に詳細に評価するとともに、それらを融合し、PET/MRI同時計測用プローブとしての応用を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MRI造影剤(Molday ION)に腫瘍血管内皮細胞特異的な抗体(V2-05i)を修飾することで、腫瘍造影能が向上すると考え実験を行ったが、予想以上の効果が得られなかった。この原因として、修飾した抗体がターゲティング素子としての機能を発揮するためには修飾量が少なかった可能性が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記問題点を解決する方法として、MRI造影剤(CAU/Molday ION)の腫瘍造影能の向上を目指し、粒子表面に修飾可能な抗体量を増やし、腫瘍血管内皮細胞を標的としたMRI造影剤への応用を試みる。また、腫瘍血管内日細胞を標的とする抗体だけでなく、既に臨床で抗体医薬として用いられている抗体(リツキサン)を用い、CD20を標的とするMRI造影剤の可能性についても検討する。
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