研究課題
悪性中皮腫におけるNF2-Hippo腫瘍抑制シグナル伝達系に係わるコンポーネントについて中皮腫細胞株24株を用いてさらに詳細に検討し、NF2, LATS2、SAV1遺伝子の不活性化の他にLATS1, AJUBA, KIBRA遺伝子の不活化異常の存在を新たに明らかにした。LATS1は昨年度までに明らかにした悪性中皮腫の新規腫瘍抑制遺伝子LATS2とホモローグ(リン酸化酵素)であるが、LATS1分子も上流のHippoシグナルを受けてYAPがん遺伝子産物(転写コアクチベーター)のリン酸化(不活性化)に関与していることが示唆された。LATS1の不活性化は24細胞株中5株において認められ、その内3株はLATS2の不活性化が共に認められた。LATS2遺伝子が不活性化している中皮細胞(24株中6株)ではLATS1遺伝子が共に不活性化した場合、YAPの恒常的な活性化(低リン酸化状態)がさらに増強されることが示唆された。さらに、中皮腫細胞においてYAPの抑制(リン酸化)はLATS1よりもLATS2がドミナントに作用することが示唆された。中皮腫臨床検体20検体を用いてYAPの免疫組織学的染色を新たに行い、15検体で中~高度発現、19検体において細胞核が細胞質より強染性(転写コアクチベータとして活性化)であることを確認した。一方、YAPの標的遺伝子であるconnective tissue growth factor (CTGF)をノックダウンした中皮腫細胞株をヌードマウスに移植したところ、コントロールに比べマウスの生存が延長し、CTGFがin vivoにおいて腫瘍の悪性化に関与していることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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