研究課題
1.培養細胞系での解析より見出したMEK阻害剤とHDAC阻害剤の併用によるがん細胞死誘導増強に関して、それが動物個体系(Xenograft)においても有効である可能性を、HT-29細胞(B-Raf変異)、H1650細胞(EGFR変異、EGFR-TK阻害剤抵抗性)、AZD6244/PD184352(MEK阻害剤)、MS-275(HDAC阻害剤)を組み合わせて多角的に検討した。その結果、(1) 両薬剤の併用は、有意な副作用を示さない条件下において、極めて顕著な抗腫瘍効果(増殖抑制、がん組織の脱落)を示す事、(2) そこでは酸化ストレスに起因するDNA障害が本質的な役割を果たしている事、を明らかにした。2. ERK-MAPキナーゼによる細胞運動制御の分子機構に関して、そこで機能する分子として同定したSH3P2(細胞運動を負に制御し、その機能はRSK(p90)によるリン酸化で抑制される)の下流で (1) Myosin1E(Myo1E)が必須の役割を果たす、(2) Myo1Eは分子シャペロン、UNC45-Hsp90複合体と結合する、(3) UNC45-Hsp90の機能を阻害すると、血清刺激に応答して細胞移動先端部に移行したMyo1Eが長時間そこにとどまり、同条件下では細胞運動能が抑制される、(4) Myo1EはそのSH3ドメインを介してカベオラ形成に関与するCaveolin1-Cavin1/3複合体と結合する、(5) Myo1Eの発現を抑制すると、Caveolin1、Cavin1/3の発現量が低下し、それは各分子の安定性低下に起因する事、(6) Caveolin1、Cavin3の発現を抑制すると、細胞運動が阻害される事、を見いだした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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