研究課題
PARP阻害剤は5-aza-2’-deoxycytidine (5-aza-dC)による細胞毒性を数種のがん細胞株において増強した。5-aza-dC と併用することでPARP阻害剤はエピジェネティック変化を誘導し、広範な遺伝子発現変化を誘導することことを認めた。PARP阻害剤がどのような遺伝子機能不全を示すがんに合成致死を誘導できるのかについてsynthetic lethality鯆鵜により網羅的に検索し、標的を同定することを試みた。スクリーニング法としては、テトラサイクリンリプレッサーを発現しているHeLa細胞に約10,000種類の遺伝子を標的とするレンチウイルスshRNAライブラリーを感染させ、PARP阻害剤として現在治験に利用されているものの中から、AZD2281及びABT888の二種類について使用し、negative selectionを行った。マイクロアレイによる標的遺伝子の同定、siRNAによる結果の検証を進めつつあり、がん細胞での変異遺伝子データベース等を用いた臨床的意義の探索を行う。PARG阻害がどのような遺伝子機能不全を示すがんに合成致死を誘導できるのかについても合成致死法により網羅的に検索し、標的を同定することを試みた。上記と同様のnegative selectionによるスクリーニング法でPARG阻害の細胞増殖抑制効果の効果規定因子の網羅的な検索を進めた。PARG機能阻害がガンマ線や炭素線という低~高線エネルギー付与の放射線の致死作用を増感する機構を解析し、二本鎖DNA切断修復の遅延を介して増感することを示した。
2: おおむね順調に進展している
PARPとPARG機能阻害が細胞増殖を抑制させる機構について解明を進めつつ、PARPとPARG機能阻害がどのような遺伝子機能不全を示すがんに合成致死を誘導できるのかについて研究を遂行しつつある。
現在の研究方針に基づき、PARPとPARG機能阻害が細胞増殖を抑制させる機構について解明を行いながら、PARPとPARG機能阻害がどのような遺伝子機能不全を示すがんに合成致死を誘導できるのかについて合成致死法で研究を進め、見いだした候補遺伝子について機構解析を行い、臨床的意義を検討していく。
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