研究概要 |
新しい癌種の発症リスク関連SNPの同定 C型肝炎ウイルス陽性肝癌(265例):C型肝炎患者を対照に用いて約80種のSNPを解析した所、6SNPが統計学的に信頼できるリスクを示した。内2つ (MDM2, ALDH2) は国内先行報告の再現性確認であったが、他の4種 (CCND2, RAD23B, GRP78, CEP164) は新規な知見である。これら6 SNP遺伝子型の重複の多重度検定により、肝炎の進行度で分類した4群の肝癌発症絶対リスクを5段階で予測する方法を開発した。本評価法は患者群の予後とも有意に相関した。その他の癌種: 婦人科癌:全症例(7 SNPが有意)。卵巣癌(5 SNPが有意)、子宮頸癌(6SNPが有意)、子宮体癌(6SNPが有意)。若年発症リスク(RAD17などのDNA修復遺伝子群5 SNPが有意)。癌家族歴:(MAD1L1など4SNPが関連)。胆道系腫瘍:(6 SNPが有意、特にWRNとSNM1BのDNA修復遺伝子の多型が高い相関)。腫瘍発症リスクの男女差: 肺腺癌、肺扁平上皮癌、大腸癌、胃癌、膵臓癌、腎細胞癌、胆道系腫瘍、等については、男女間で関与するSNPレパートリーが大きく異なっていた。このように、種々の癌の発症機構が男女間で異なっている可能性が示唆された。 リスク関連SNPの再現性試験: 肺扁平上皮癌:236例の肺扁平上皮癌患者検体を総数、男女比、年齢構成を同じくする2群に分け、それぞれ独立の743名の健常人集団2群と組み合わせたA,B、2組のペアで比較したところ、Aでは9種、Bでは12種のSNPが有意となり、うち4種が完全に再現された(RAD18,ALDH2,WRN,IRF3)。大腸癌:同様に、大腸癌患者検体(386例)を2群に分けて解析した結果、5 SNPが完全に再現された(ALDH2,PTPRJex6,MMP9,IRF3,BARD1)。
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