研究課題/領域番号 |
22310007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸野倉 賢一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00260034)
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研究分担者 |
林 瑠美子 東京大学, 環境安全本部, 助教 (50508421)
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キーワード | 大気化学 / 亜硝酸 / オンサイト計測 |
研究概要 |
亜硝酸(HONO)計測用中赤外キャビティリングダウン吸収分光(CRDS)装置の開発を行い完成させた。キャビティー長は50cmとし、99.97%の高反射ミラーで構成されており、光学系は90cm×30cmのブレッドボード上に配置されており小型化を図っている。光源としては1275cm-1付近の発振が可能なcw量子カスケードレーザーを用いた。HONOの1275cm-1付近のH-0-Nの変角振動に帰属される赤外吸収においてCRDSにより吸収スペクトルを測定し報告されているデータとの比較検討により吸収線の帰属を行った。また、干渉物質による測定精度の影響評価を行った。その結果、装置内圧力を制御することにより近隣に吸収がある亜酸化窒素やメタンの干渉影響を抑えることができることが確認された。アラン分散解析により、数十秒の積算時間が高感度計測をする上では最適であることが確認された。HONO濃度を10-1000ppbの範囲で変化させ検出限界を測定した結果、10秒積算において数ppbの検出感度が得られた。 差分吸収分光法(DOAS)によるHONOの大気計測については清掃工場の煙突に設置されている航空障害灯を光源として用いたパルス型DOASにより観測を試みた。分光器における波長ドリフトを防ぎ、検出感度を向上させるために温調機構を採用し波長安定性の向上を図った。波長安定性が向上したことにより朝方もしくは夕方においてHONOが数ppbの濃度で東京都市大気において存在していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRDS法により低濃度のHONOの検出に成功した。また、改善の余地はあるが、パルス差分吸収分光法により大気中のHONOの観測に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
CRDS法においてリングダウン時間を以下に安定化させるかが検出感度を向上させる鍵となる。レーザーモードの検討や位相シフト法などを用い検出感度の向上を図る。
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