2010年度は、2011年度に実施する海底設置式流速計による係留観測のための準備、潮汐・潮流モデルの開発、潮汐・潮流モデルに同化するための潮汐調和定数の算出を行った。 2010年11月に海底設置式架台に水位計を搭載し、2011年度に係留を予定しているポイントとほぼ同じ水深の対馬海峡東水道において設置、回収作業のテストを行い、投入方法、回収方法の確認を行った。このテストにより海底設置架台の形状を改良しなければならないこと、架台の内部に回収のためのロープを搭載しなければならないことが明らかになり、2010年度内に改良、ロープの準備を完了した。 潮汐潮流モデルに関しては、公開されている海底地形データからモデル地形を作成し、中国の海図をもとに中国沿岸、特に長江河口域の海底地形を改良、日本近海の潮汐モデルから得られた調和定数を境界条件として観測データを同化しないモデルを構築した。モデル結果を験潮所データと比較したところ、これまでの潮汐・潮流モデルと同程度の精度で潮汐を再現できた。 中国沿岸の予報潮位と韓国沿岸の毎時の水位データから調和解析により、両国沿岸の16分潮の潮汐調和定数を計算した。日本沿岸については、潮汐調和定数表から計算対象領域のデータを整理した。また、1992年~2010年までの海面高度計データを使い、2つの軌道が交差する点での16分潮の潮汐調和定数を算出した。
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