研究課題
2011年度に回収できなかった係留系を回収後、2011年に引き続き、潮汐・潮流同化モデルと衛星海面高度計データの検証のため、東シナ海陸棚上と対馬海峡内に2ヶ月程度、水位計と流速計を海底設置架台に搭載し観測を実施した。設置・回収に関しては特に大きなトラブルはなく、データから8分潮の潮汐と潮流の調和定数を推算できた。潮汐・潮流モデルに験潮所データだけでなく、衛星高度計データから計算した水位情報も同化できるモデルを構築した。このモデル結果と観測値の比較から、これまで最も精度がよいとされていたモデルの誤差に比べ倍以上の精度で潮汐を再現できるようになった。特に主要4分潮の誤差は当初目的とした精度を満足するものであった。さらに、同化する衛星高度計データ数へのモデルの応答を調べ、軌道沿いに同化するデータを増やすよりも全体的に分散するように、そしてより正確なデータを同化することが必要であることを明らかにした。また、この潮汐・潮流同化モデルの結果を使い衛星海面高度計データの潮汐補正を行い1995年から2009年までの海面高度データセットを作成した。2011年度に作成した東シナ海の月平均流速場データの解析を実施した。この解析結果から台湾暖流、黒潮の陸棚上への分岐、黒潮、東部東シナ海での黒潮分岐流が比較的安定して流れていることが分かった。さらに、時間変化に注目すると年周期の変動が最も卓越していることが明らかとなった。この年周期の変動は台湾北東海域と対馬海峡からそれぞれ伝播してくる渦度偏差で特徴付けられ、台湾北東海域を起源とするシグナルは100mの等深線に沿って黒潮の下流方向へ、対馬海峡を起源とするシグナルは100~200mの等深線に沿って対馬暖流の上流方向へ伝播することが示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Progress in Oceanography
巻: 105 ページ: 38-46
Journal of Oceanography
巻: 68 ページ: 345-354
巻: 68 ページ: 30-37
10.1016/j.pocean.2012.04.012