研究課題/領域番号 |
22310011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 和久 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80112291)
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研究分担者 |
杉原 真司 九州大学, アイソトープ総合センター, 助教 (10253402)
岡本 透 独立行政法人森林総合研究所, 木曽試験地, 主任研究員 (40353627)
山田 努 東北大学, 理学研究科, 助教 (50321972)
松田 博貴 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80274687)
栗崎 弘輔 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70507839)
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キーワード | 鍾乳石 / 古環境情報抽出 / 絶対年代測定(年縞、U-Th法) / 古代の銅製錬 / 植生変遷 / 酸性雨 / 石筍中湾量成分 / 炭酸塩酸素同位体比地質温度計 |
研究概要 |
1)平成23年1月5~7日に九州大学において以下の成果についての報告および今後の展開について研究会を開催した。また、日本鉱業史研究会の井澤英二会長、中西哲也会員との合同シンポジウムとして古代の銅採掘、製錬に関する情報交換を行った。なお、1件の修士論文および5件の卒業論文となった。 2)顕微蛍光法による年縞計測について現有設備の改良をハードおよびソフト面から行い、年縞の計数による絶対年代測定の信頼性と簡便性をさらに向上させることができた。 3)α線、γ線スペクトロメトリーを用いた同位体希釈法による鍾乳石の絶対年代測定法の開発を行い、平尾台石筍試料に関して3±1万年の絶対年代を出すことができた。次年度以降、分析の信頼性を向上させ、実試料の年代測定を行う予定である。 4)調査対象地域をさらに増やし、東北(岩手県および宮城県)、長崎県西海市、沖縄県石垣島までをカバーすることができた。 5)奈良時代から稼動した秋吉台長登銅鉱山の盛衰を当時の局地的酸性雨および植生変遷から追跡するために、すでに分析を終えた西暦1400年以降に成長した石筍とは異なる試料について検討を行った。紀元前後からの酸性降下物量のおよび植生の変遷を読み取ることができた。同様の可能性を福岡県平尾台の鍾乳石を用いて検討するために、文化庁および環境省から許可を得て、苅田町青龍窟から石筍を採取し、研究を開始した。 6)秋吉台に関して、古絵図、古文書からの植生変遷に情報の蓄積を継続した。 7)14C年代の確定した最古の人骨(約2万年前)が発掘された石垣島竿根田原洞穴から石筍を採取できたので、今後、当時の古環境情報を明らかにしていく予定である。 8)昨年度に引き続き、秋吉台の鍾乳石以外に気温の異なる日本国内の鍾乳洞において、滴下水およびその滴下水から生成する鍾乳石を採取し、酸素同位体比測地質温度計用データの蓄積を行った。
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