研究課題
1.電量滴定装置の滴定終点付近のパルス電流を変更することで、1%CO2標準ガスによる繰返し測定では、0.03%以下の高い繰返し精度を達成し、性能を向上させることができた。2.学術研究船白鳳丸KH11-10・KH12-1両航海により、太平洋熱帯域と南北太平洋亜熱帯域の広域で行った観測の結果をまとめ、全炭酸濃度、全アルカリ度、酸素センサーによる酸素濃度の鉛直分布および大気・海洋表面水のCO2分圧の水平分布のデータセットを作成した。3.太平洋内部の炭酸系・化学データベースPACIFICAの系統誤差補正済みデータベースを作成した。これを使って、太平洋の西部熱帯域や亜熱帯域の海洋表層で全アルカリ度に長期変化がないことを立証した。この結果をSOCATv1.5の海洋表層CO2分圧データと組み合わせて炭酸系計算を行い、サンゴ礁が発達した生物多様性の宝庫である太平洋西部熱帯域において、海洋表層の全炭酸濃度の平均速度+0.77micro-mol/kgの顕著な増加と、それに伴う海洋酸性化の進行を立証した。4.赤道潜流内の全炭酸濃度の過去約15年間の変化を評価し、亜熱帯域表層が起源のポテンシャル密度25.5より上層では、人為起源CO2の蓄積によって、全炭酸濃度が+0.41~+0.62 micro-mol/kgの範囲で増加していることが分かった。このことから、亜熱帯域で大気から海洋に吸収された人為起源CO2の海洋循環による熱帯域への輸送が、熱帯域における全炭酸濃度増加と海洋酸性化に強く影響していることが分かった。5.プリンストン大学のK. Rodgers博士らの協力により、2.の観測結果と海洋物質循環の数値予測モデルの結果を比較した。数値モデルの結果は、熱帯域のCO2増加メカニズムに関する3.及び4.の仮説と整合した。しかし、数値モデルは赤道域の海洋CO2増加速度を過大評価していると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Global Biogeochemical Cycles
巻: 26 ページ: -
10.1029/2011GB004227
Geophyical Research Letters
巻: 39 ページ: -
10.1029/2012GL051665