研究課題
富山県の立山西側において、エアロゾル粒子粒径別個数濃度、オゾンや二酸化硫黄などの微量気体成分濃度、硫酸塩粒子濃度などの測定を行なった。2010年11月には越境汚染の影響と共に大規模な黄砂現象が観測されたが、9月や10月においては「バックグラウンド黄砂」の影響は小さかった。また、霧水や降水を室堂平(標高2450m)、弥陀ヶ原(標高1930m)および美女平(標高977m)で採取・化学分析を行った。2010年9月の室堂平で採取した霧水中の化学成分については、国内起源の汚染物質の影響が大きかったものと考えられた。植生に有害な高濃度の過酸化水素も検出された。2010年4月下旬には、室堂平において全層にわたる積雪断面観測を行い、層位構造等の観測や化学分析を行なった。主要イオン成分の他に、過酸化水素やホルムアルデヒド濃度の測定も行った結果、硫酸イオンなど人為起源成分とホルムアルデヒドとの間に有意な相関がみられ、酸性物質とともに光化学オキシダントも輸送されているものと考えられた。また、積雪黄砂層についてストロンチウム同位体比の測定を行い、土壌粒子の起源について検討した。富山市(富山大学内)と立山・浄土山にスカイラジオメータを設置し、標高3000m内にある大気中のエアロゾル光学的特性を測定することが可能となった。観測データから、両地点での光学的厚さは一桁異なるものの、同様のエアロゾル粒子粒径分布が得られた。さらに、2010年8月に回転翼航空機により、富山県上空の大気環境観測を行った。立山高山帯における大気から植生への湿性・乾性沈着量の評価を行ない、夏季においては霧などの湿性沈着が重要な影響を及ぼしていること、立山・浄土のハイマツ林における大気からの窒素負荷量が十分大きいことがわかった。また、立山ブナ林などの植生調査を行った。
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