研究課題
初年度には、代表者世良により大気PIXEシステムにおける無標準定量分析法の開発が行われた。先ずオイル試料に対する無標準法、さらに主にモンゴルの食物試料分析の目的でバターなどの乳製品に対する無標準法が開発され、食物試料の定量分析法が全て完成した。さらに「生きた植物試料」に対する無標準定量分析法がほぼ確立され、正常な代謝を保った状態での植物内元素濃度変化が観察可能となり、Ca、Feなどの興味深い振舞いが観測されている。今後、投与された亜ヒ酸などの植物内動態観察を行う予定である。本法の開発により23年度以降、汚染された灌漑用水・土壌などからの農作物への有害元素取り込み状態を把握し、安全な農耕法の開発に着手できるものと期待される。平成22年度に購入された大気PIXE用のSi(Li)検出器は、大気システムへの組み込みはまだ行われていないが、性能チェックを完了した。23年度に検出効率を測定、大気二検出器同時測定システムを構築し「生きた植物試料に対する無標準定量分析法」に応用する予定である。食のリスク管理に関する調査研究においては、先ず21年度の予備調査によりバングラデッシュで採取された農作物・養殖魚類等の分析が行われ22年4月に全て完了した。その結果をもとに22年度の試料採取計画を立て、モンゴルにおいては分担者村尾により7月、バングラデッシュにおいては分担者中村により乾季を迎えた12月にそれぞれ系統的な食物試料の採取が行われた。すでに分析が進められ、ヒ素・水銀・ビスマスなどの重元素が多くの試料から検出されている。現在、震災の影響で加速器が停止状態にあり22年度内の分析完了はならなかったが、ひと通りの結果をまとめる段階にある。その結果をふまえ、住民の食生活を考慮して有害元素の総曝露量を推定し、リスク評価を行うとともに、23年度の試料採取計画を立てる予定である。
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Int'l Journal of PIXE
巻: (受理済み 未定)
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Proceedings of 11th International Symposium on Mineral Exploration
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Lecture Note in Engineering and Computer Science, WCECS, San Francisco
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