研究課題/領域番号 |
22310026
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
門野 博史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70204518)
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研究分担者 |
ヴィオレッタ マジャルバ 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70400637)
三輪 誠 埼玉県環境科学国際センター, 専門研究員 (30375589)
米倉 哲志 埼玉県環境科学国際センター, 主任 (40425658)
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キーワード | 光干渉法 / 極短時間植物成長 / 光化学オキシダント / オゾンストレス / レーザスペックル / 植物生長ゆらぎ |
研究概要 |
本研究では、申請者が提案している統計干渉法に基づいて,秒オーダーの極短時間における植物の葉などの成長挙動をサブナノメータの分解能で連続的にin situ計測できるシステムを用いて,新しい植物の環境ストレスモニタリング技術を確立することである.本年度はイネに加えて、ハツカダイコン、ダイズ、ホウレンソウに対して環境汚染物質として,主にオゾンに焦点を絞り,オゾンストレスを早期にかつ定量的に評価することを目的とした実証研究を行った。 今年度は植物活性を評価する従来法として光合成速およびクロロフィル蛍光法と比較するため比較的長期である30日間のオゾン除去した大気(CF)、通常の大気(NF)、および通常の1.5倍の濃度のオゾン(1.5NF)の曝露実験を行い提案手法と比較してその有効性を検討した。その結果、従来法である光合成速度では値の低下は確認されるが必ずしも有意な低下が認められなかった。例えばハツカダイコンに対してCFとNF,ダイズに関してNFと1.5NFとの差異など。これに対して植物生長のナノメータゆらぎに基づく本手法ではいずれの条件でも有意なナノメータゆらぎ量の低下が認められた。これにより、大量のオゾン曝露では従来法との相関が認められることから、本手法で提案しているナノメータ成長ゆらぎ量はオゾンストレスの指標となりうることが示された。さらに従来法に比べて感度が高いことから短時間(1時間程度)の測定によりストレス評価が可能であり実用上意義がある。 もう一つの研究目標であるナノメータゆらぎの生理学的起源の解明に関しては、細胞の水の輸送を制御している細胞膜上に存在するアクアポリンを阻害する実験を行った結果、濃度により50%程度の低下が引き起こされた。 したがって、ナノメータゆらぎの起源として細胞内の水の輸送が関係していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画で挙げている(1)ナノメータゆらぎの環境ストレスの指標としての有効性の検証、および(2)植物生理応答との比較検討に関して、従来法との相関を実証しさらに従来法に比べて短時間かつ高感度の評価が可能であることを実証した。(3)ナノメータゆらぎの生理学的起源の解明に関しては、細胞の水の輸送が関連していることを明らかにした。以上のように研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.作物植物に関してさらにサンプル数を増やして実験を行い、ナノメータ生長ゆらぎのオゾンストレス応答をより明確にする。 2.データ解析法としてスペクトル解析を試みる。 3.ナノメータ生長ゆらぎの起源に関してさらに検討し、実験を進める。
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