沿岸域の生物資源環境の持続的利用を実現するには、「地域共同体による資源管理」を核として、あらゆる関係者の協議による利用調整をおこなう「総合的な沿岸域管理」へと管理形態を段階的に発展させることが現実的であり、そのための基盤構築が必要です。本研究は、性格の異なる4つの地域(北海道厚岸町、東京都内湾沿岸、福島県沿岸、マレーシア国ペナン州)において、研究協力者(一次産業関係者、市民団体、行政機関など)とともに、基盤構築の課題を明確にし、その手法を参加型ワークショップの実践を通して提示します。本研究の特色は参加型手法を駆使する点であり、本研究の意義は、地域内および地域間の協同による沿岸域の持続的利用のしくみを構築することです。 具体的には次のようです。(1)「アジア型沿岸資源管理」の段階的発展を促す具体的手法を提示した。(2) 地域内および地域間のネットワークを形成し、基盤構築の技術移転(情報、ノウハウを含む)をおこなった。(3) 研究協力者と地域の方々と参加型手法で手法の開発をおこなった。これを一言ででまとめれば、沿岸資源環境の利用管理にかかわる「ソーシャルラーニング(社会的な学び)」を対象地域の一次生産者、実務者を含む関係者の方々との協同で実践し、その手法を開発たと考えます。本研究の成果は瓦版(ニュースレター)の作成、ホームページと研究協力者を介して成果をご協力いただく地域の方々へフィードバックし、学会発表をおこない、JICA集団研修で手法を活用し、勤務大学にて対象事例についてのケースメソッドを開発し、授業をおこないました。
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