研究課題/領域番号 |
22310031
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
馬越 孝道 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (30232888)
|
研究分担者 |
深見 聡 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (20510655)
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (50435468)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 地熱 / 再生可能エネルギー / 温泉バイナリー発電 / 地域再生 / ジオパーク |
研究概要 |
島原半島における地熱エネルギー利用と、それを核とした地域力再生プログラムの開発に向け、平成24年度は以下のような調査研究および研究会等を実施した。1.雲仙市小浜温泉における温泉バイナリー発電の事業可能性について、地元・企業と合同で研究会を開催し詳細に検討した。2.ジオパークと融合した地熱利用の調査を、秋田県湯沢市等で実施し、温泉熱の多角利用、発電された電気の利用方法、またそれらをジオパークに関連付ける取り組みについて事例収集を行った。3.地熱エネルギーを活かしたランドスケープとランドスケープの形成に係わる方法論の構築に向けて、島原半島を含む長崎のランドスープと緑地の特徴を明らかにした。またランドスケープの評価と法制度による保全・整備に関わる方法論もとりまとめた。4.2012年8月、雲仙市小浜温泉において地元と共同で地熱を活かしたまちづくりのワークショップを開催した。この中では、小浜町北刈水地区を対象として空家や地域資源の現状調査を実施し、温泉発電の電力も活用した今後のまちづくりの構想案をまとめた。5.2012年9月、京都大学研究チームと「自然エネルギーと地域自立」をテーマとした合同研究会を開催し、小浜温泉における温泉発電プロジェクトの現状について報告するとともに、自然エネルギーを活かした地域自立のための諸課題について議論した。6.2013年3月、「ジオパークにおける低炭素まちづくりと地域再生」の第3回シンポジウムを小浜温泉で開催し、現在小浜温泉で進めている温泉バイナリー発電プロジェクトの目的や現状について報告するとともに、外部講師を招き再生可能エネルギーの世界的展開、地熱利用技術、再生可能エネルギー導入の意義等について市民に紹介した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地熱・温泉のエネルギーの利用を地域で進めるには、地元市民、泉源所有者、行政等の理解が不可欠である。本年度、地元との協議や勉強会に加えて、温泉エネルギーを活かした地域づくりに関するワークショップの開催など新たな取り組みも始まり、地元との連携が一層強化された。また「自然エネルギーと地域自立」に関する京都大学との合同研究会が3年計画でスタートし、自然エネルギーを活かした地域力再生についての本研究の学術的基盤が強化された。さらに本研究がスタートした平成22年度に雲仙市小浜温泉で「ジオパークにおける低炭素まちづくりと地域再生」のシンポジウムを開催したが、2013年3月、昨年の第2回目に続き第3回目を開催することができるなど、本取組が地元に着実に浸透してきている。 小浜温泉では、環境省補助事業による温泉バイナリー発電の実証試験が2013年3月から始まっており、それと並行して今後の事業化に向けた具体的検討も進んだ。またジオパークと地熱利用の融合に関するデータ収集も進んでいることから、おおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題は平成25年度が最終年度となる。小浜温泉における温泉バイナリー発電とそれを活かした地域再生について地元との協議・研究会を継続し、地域における自然エネルギー利用推進の在り方と課題について取りまとめをおこなう。また平成25年度は環境省補助事業による温泉バイナリー発電の実証試験が行われており、この機会を利用して学生あるいは一般見学者を対象とした環境・エネルギー教育を試行するとともに、自然エネルギーをジオパーク活動に融合する方法を提案していく。合わせてそのための教材作りにも取り組む。また国内各地で自然エネルギーの導入計画が進んでおり、最新の動向を現地調査を行うなどして集約する。 さらに、豊富な自然資源を活かした島原半島のスマートコミュニティ構想を、国内外の事例も参考にしつつ検討し、その実現に向けた課題をとりまとめる。また本取り組みを地域に浸透させるための可視化の方法や仕組みについても焦点を当てて研究を進める。
|