研究課題
過疎にあえぐ多くの山村地域では、地域の生き残りをかけてさまざまな努力が行われている。しかし、その取り組みを成功に導くのは容易なことではない。葛巻町は、岩手県東部を南北に連なる北上山地に位置する過疎自治体であり、地域資源を有効に活用しながら山村の持続的発展を進めている地域として全国的に知られている。そこで、葛巻町の地域づくりにおいて、人的ネットワークがどのような役割を果たしているのかについて分析を行った。本研究では,社会ネットワーク分析を用いて検討を行った。分析に用いたデータは、葛巻町の地域開発の取り組みに関わった関係者を対象に、2011~2011年にかけて調査を行い収集した。そして、得られたデータを用いて社会ネットワーク分析を行い、取り組みに寄与した人的ネットワーク構造の把握を行った。葛巻町ではこれまで酪農の振興やワインの製造を手掛け、「ミルクとワインのまち」としての地域づくりを進めてきた。また、森林組合による地域森林資源の有効利用、風力発電施設の建設を含む自然エネルギー普及の取り組みなど、地域の資源を活用した地域開発を積極的に進めてきている。このような活発な地域開発は、地域関係者による密接な連携、協力体制によって進められてきたと考えられる。そこで、社会ネットワーク分析によって現在の関係者のネットワークを把握した結果、現町長を中心として第三セクター、森林組合の関係者の間に密なネットワークが存在していることが明らかとなった。また、前町長の任期中のネットワークについても同様に把握したところ、現在と同様に町長を中心とする密なネットワークが見られることが明らかとなった。以上のことから、町長を中心とする中心性の高いネットワークとともに、第三セクターや森林組合との間に強い結束型のネットワークが存在しており、これが葛巻町における地域づくりに大きく貢献していると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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森林技術
巻: No.641 ページ: 8-12
農村計画学会誌
巻: 31(1) ページ: 33-36
巻: 31(2) ページ: 174-182
巻: 31(論文特集号) ページ: 213-218