研究課題/領域番号 |
22310036
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
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研究分担者 |
孫 継英 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 講師 (80397926)
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キーワード | 放射線被ばく / ゲノム損傷 / 細胞核構造 / RAD51 / 構造関連蛋白質 |
研究概要 |
放射線被ばくによるゲノム損傷の適切な修復には、ヒストン蛋白質の損傷依存的な翻訳後修飾・交換やゲノム修復関連蛋白質の損傷部位への集積などによる細胞核構造変換が重要であると考えられている。しかし、ゲノム損傷部位における細胞核構造変換の詳細については、未だ不明な点が多い。本研究では、高次構造を構築するために必要な構造関連蛋白質に注目して、ゲノ修復関連高次構造体形成の分子メカニズムの解明に取り組む。このために、ゲノム損傷部位に高次構造体を形成するゲノム修復関連蛋白質RAD51の蛋白質複合体解析から、高次構造体の足場構築に必要な構造関連蛋白質を同定し、これらの構造関連蛋白質の生物学的役割について紫外線マイクロ照射法などを用いて検証することとした。その結果、構造関連蛋白質Matrin3(MATR3)がRAD51蛋白質複合体に含まれていることが明らかになった。MATR3は、ゲノム損傷シグナル関連タンパク質リン酸化酵素ATMにより損傷依存的なリン酸化修飾を受けることが2010年に発表されており、ゲノム修復においてRAD51の機能制御に関わっている可能性が示唆された。そこで、内在性のRAD51とMATR3の相互作用について免疫沈降法を用いてこれらの因子の相互作用を検証した結果、これらの因子の相互作用が確認された。ついでMATR3の発現抑制細胞を作成し、RAD51の核内での動態制御におけるMATR3の役割を検証した結果、RAD51の細胞内局在にMATR3が関与していることが明らかになった。さらに、MATR3発現抑制細胞では、組換え修復活性が抑制されていることが明らかになった。現在、MATR3とRAD51の相互作用の分子機構についての解析に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東電福島第一原発事故への対応のため、研究の進行がやや遅延したが、RAD51が形成する放射線誘発核内フォーカスの形成に、核マトリクス関連タンパク質であるMATR3が関連することを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、MATR3とRAD51の相互作用の分子機構についての解析を進めることにより、放射線障害によるゲノム損傷の修復におけるRAD51核内フォーカス形成の生物学的意義の解明に取り組む。
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