研究課題
21世紀の社会では、原子力エネルギーや医療、産業等での放射線の利用が激増するが、低線量放射線の健康影響問題は人類共通の課題となっている。本研究では、最新の突然変異誘発機構の研究成果を応用して、低線量放射線被ばくによるゲノム上の爪痕を解析し、これを用いた分子レベルの生物線量計の開発を試みる。その為、突然変異を誘発するRev1トランスジェニックマウス(Rev1マウス)とヒト家族性大腸腺腫症のモデルマウス(Apc^<Min/+>マウス(Minマウス))を交配したF1マウスを利用する。このマウスを用いることで、変異原による小腸腫瘍誘発がより高感度に検出できるのか、さらには放射線被ばくの爪痕とその発がんリスクが評価できるのかを検討した。同時に、点突然変異を誘発する分子機構解析を進め、その成果を放射線等による点突然変異を介する発がん機構の解析とそのリスク評価に応用できるか検討した。1.Rev1遺伝子のトランスジェニックマウス(Rev1マウス)とApc^<Min/+>マウス(Minマウス)を交配したF1マウス((Rev 1 XApc^<Min/+>)F1マウス)の作成と感受性の検討Rev1マウスとMinマウスを交配したF1マウスは、発がん高感受性のマウスになる可能性がある。そこで、この2系統のマウスを交配した(Rev1 X Apc^<Min/+>)F1マウスとMinマウスを用いて、自然誘発および放射線による発がん実験を行った。その結果、F1マウスは高感受性になることを明らかにした。2.REV1の損傷乗り越えDNA合成による突然変異誘発機構の解析突然変異誘発におけるREV1の機能を明らかにするためには、各ドメインの機能を明らかにする必要があるといえる。本年度は、REV1の個々のドメインを欠失した変異体タンパクを精製し、生化学的解析を行うことにより、REV1のDNAとの結合能を明らかにした。
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