• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

哺乳動物におけるダイオキシン類の代謝排泄メカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22310042
研究機関岐阜薬科大学

研究代表者

中西 剛  岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (50303988)

研究分担者 永瀬 久光  岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40141395)
キーワードダイオキシン / 尿中排泄 / 代謝
研究概要

今年度は、ダイオキシン類の中でも最も毒性が強く難分解性の2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)の肝臓蓄積量を減少させ、尿中への排泄を促進する甲状腺ホルモンをキー化合物とし、主に(1)TCDDの尿中への排泄への引き金を引く標的分子の同定、(2)尿中排泄されたTCDDの化学型に与える標的分子欠損の影響、(3)リコンビナント蛋白質や培養細胞を用いたin vitro系におけるTCDD代謝の検討と評価系の構築を試みた。まず甲状腺ホルモンの受容体である甲状腺ホルモン受容体(TR)の各サブタイプ欠損マウスを用いて、TCDDの体内動態について検討を行った。その結果、甲状腺ホルモンのTCDD尿中排泄促進作用は、TRα欠損マウスでは野生型と同様に認められたが、TRβ欠損マウスでは全く認められなくなった。またTRβ欠損マウスでは、甲状腺ホルモンを投与しない場合においても、TCDDばく露時の尿中排泄量が野生型に比べて有意に減少していた。さらに尿中排泄されたTCDDの化学型についても検討を行ったところ、TRβ欠損マウスでは代謝物ではなく未代謝物の排泄量が減少していた。これらの結果から、甲状腺ホルモンによるTCDD排泄促進はTRβを介して引き金が引かれており、またその作用はTCDDの代謝の促進ではなく、未変化体のまま排泄を促進する可能性が示唆された。これを反映して、in vitro系においても雄性マウスの肝臓ミクロソーム画分や初代培養肝細胞を用い、甲状腺ホルモンのTCDD代謝への影響について分析を行ったが、未変化体のみが検出され、代謝物は検出限界以下であった。以上より、TCDDの主要な排泄経路は、代謝を受けずに未変化体のまま尿中へ排泄される経路である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、甲状腺ホルモン等によるダイオキシン類排泄促進作用は、ダイオキシン類の代謝の促進によるものと予測していたが、結果は予想とは異なっていた。しかしながら、ダイオキシン類の排泄の引き金を引く重要な分子の同定や、尿中排泄経路の一部を解明することができており、方向性は変わったものの新たな化学物質の排泄機構を見出しつつあることから、おおむね順調に研究が進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、ダイオキシン類がどのような機構によりそのまま尿中に排泄されているかなどを、既に行っているマイクロアレイ等のデータについてTRB標的遺伝子を中心に再検証し、作用メカニズムの解明を試みる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Possible aryl hydrocarbon receptor-independent pathway of 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin-induced antiproliferative response in human breast cancer cells2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshioka, H., 他6名
    • 雑誌名

      Toxicology Letters

      巻: 211 ページ: 257-265

    • DOI

      10.1016/j.toxlet.2012.04.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Retinoic acid receptor agonists regulate expression of ATP-binding cassette transporter G1 in macrophages2012

    • 著者名/発表者名
      Ayaori, M., 他15名
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta-Molecular and Cell Biology of Lipids

      巻: 1821 ページ: 561-572

    • DOI

      10.1016/j.bbalip.2012.02.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chromium (VI) inhibits mouse metallothionein-I gene transcription by modifying the transcription potential of the co-activator p3002011

    • 著者名/発表者名
      Kimura, T., 他5名
    • 雑誌名

      The Journal of Toxicological Sciences

      巻: 36 ページ: 173-180

    • DOI

      10.2131/jts.36.173

    • 査読あり
  • [学会発表] AhR依存的/非依存的経路を介した2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxinの作用2012

    • 著者名/発表者名
      吉岡弘毅, 他6名
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] Possible mechanism of 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin-induced antiproliferative response in human breast cancer MCF-7 cells through an independent pathway of aryl hydrocarbon receptor2011

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Nakanishi, 他5名
    • 学会等名
      Eurotox 2011
    • 発表場所
      Palais des Congres de Paris (Paris)
    • 年月日
      2011-08-29
  • [学会発表] AhR非依存的経路を介した2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxinの作用2011

    • 著者名/発表者名
      吉岡弘毅, 他6名
    • 学会等名
      第30回生体と金属・化学物質に関する研究会
    • 発表場所
      森秋旅館(渋川)
    • 年月日
      2011-08-19

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi