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2011 年度 実績報告書

過栄養化した港湾でも自立・永続可能な繊維基質を用いた藻場創出技術に関する実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 22310049
研究機関徳島大学

研究代表者

上月 康則  徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60225373)

研究分担者 山中 亮一  徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50361879)
三好 真千  徳島文理大学, 理工学部, 助教 (40399168)
キーワードワカメ / ムラサキイガイ / 過栄養 / 港湾 / 直立護岸 / 藻場 / 物質循環 / 大阪湾
研究概要

(1)ワカメの生育量の変化:当水域では12月にキンランからのワカメの発芽が見られ,3~4月に最大となる.2009年,10年にそれぞれ設置したビニロン繊維上から収穫できたワカメの量を2011年4月に計測したところ,2年前(2009年設置)のものにもワカメは自生,生長していた.その量は,1年前(2010年設置)に設置したものよりも多く,2年程度ではビニロンのワカメ基質としての機能は劣化していなかった.(2)適切な設置水深:2009年,2010年に設置したいずれの繊維でもワカメは,水深D.L.-1.0mの方が生育量は多かった.なお,ビニロン上で生育する量は,種苗ロープは2/3程度であった.(3)繊維材料の劣化:設置後20カ月後のビニロン繊維の残存本数を水深別に調べた,初期にはロープ1目あたり12本のビニロンがあり,D.L.-1.5mでは本数は維持されていた.しかし,最も浅いD.L.-0.5mでは約半数に減少しており,繊維が流出しないような製作上の工夫が必要であることがわかった.(4)繊維上の生物相:ワカメが最盛期を迎える3月は,ビニロン繊維材料上にも,壁面と同様にムラサキイガイが出現し,夏季にかけて優占した.その後壁面には,カンザシゴカイ科が優占し続けるが,ビニロン繊維上では海綿動物門が優占し,その他の水深帯では,大型の動物が多量に付着することなく,再びワカメの繁茂期を迎えた.2年を経ても,ワカメは繊維材料上で,主に繊維先端に定着し,ムラサキイガイなどの二枚貝は繊維基部に付着するといった棲み分けがなされていた.また夏季に優占したムラサキイガイは平均して殻長2cm以下と壁面に比較して小型のものであった.(5)ワカメの消失する夏季の役割:夏期にはワカメは胞子として繊維に付着し,休眠する.しかし,2010年7月の貧酸素化した時期には,底生魚類であるカサゴやマダコがビニロン繊維材料上で多数確認できた.例えば,カサゴは単位長あたり20個/m観察でき,これは貧酸素時の避難場所として繊維が機能していたようである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り調査を行った.その結果,藻場が自立的に越年して藻場を形成していることが確認できた,かつその環境条件を把握することができた.

今後の研究の推進方策

現地調査を中心に,調査研究を実施する.自立的な藻場形成機構を明らかにする他に,冬期の高温化がワカメ藻場に及ぼす影響を把握できるように調査計画を立てて,研究を行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Impact of Water Quality Variation on Mussel Biomass in Semi enclosed Port2011

    • 著者名/発表者名
      R.Yamanaka, M.Miyoshi, Y.Kozuki, et.al
    • 雑誌名

      Pro.of 21st International Offshore and Polar Eng.Conf.

    • 査読あり
  • [学会発表] Relation between the mussels biomass and water quality at Amagasaki port, Osaka Bay, in 20102011

    • 著者名/発表者名
      M.Miyoshi, R.Yamanaka, Y.Kozuki, et al
    • 学会等名
      EMECS9
    • 発表場所
      USA,ボルチモア
    • 年月日
      2011-09-01

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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