研究課題/領域番号 |
22310049
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上月 康則 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60225373)
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研究分担者 |
三好 真千 徳島文理大学, 理工学部, 助教 (40399168)
山中 亮一 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50361879)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ワカメ / 藻場 / ムラサキイガイ / 過栄養 / 港湾 / 大阪湾 |
研究概要 |
1.繊維基質根元に付着するムラサキイガイの脱落要因について ムラサキイガイの脱落現象が発生する環境条件とその条件に対するムラサキイガイの付着活性への影響を複数年,複数地点における現地調査とムラサキイガイの足糸数を評価対象とした室内実験により評価した.その結果,これまでの知見に無かった,数時間スケールの海洋現象による水温変動により,足糸生産活性が高まること,塩分低下による影響は水温条件による足糸生産活性の向上効果より強く発現し,塩分低下速度の増大に伴い,足糸生産活性の低下が著しくなることわかった.最後に,これらの結果を踏まえて,脱落予測方法に関する考察と今後の課題について検討を行った. 2.繊維基質上のワカメの生育 a) ワカメの生育量の変化:当水域では12月にビニロン繊維にワカメの幼葉が見られ,3~4月に最大となった.b) 適切な設置水深: 2009 年,2010 年に設置した,いずれのワカメ育成実験系でも水深 D.L.-1.0mの方がワカメ生育量は多かった.c) 繊維の劣化:波あたりの強い水深帯や設置期間に伴い,ビニロン繊維には劣化が生じていた.d) 繊維上の生物相:ワカメが最盛期を迎える初年度の3 月には,ビニロン繊維材料には,壁面と同様にムラサキイガイが7 月にかけて優占した.その後壁面にはカンザシゴカイ科が優占したが,海綿動物門を除き,大型の動物が優占するこなく,再びワカメの繁茂期を迎えたe) ワカメの消失する夏季の役割:ワカメが胞子として休眠する夏季には,底生生物の貧酸素からの一時的避難場所にもなることが期待された. 以上のように尼崎港のようにムラサキイガイなどの動物が壁面を覆い,大型海藻が生育できない場にあっても,ビニロンなどの簡便な化学繊維を適切な水深に設置すれば,複数年にわたって自律的にワカメ藻場が成立することを実証することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り調査を行うことができた.その結果,藻場が自立的に越年して藻場を形成していることが確認できた,またムラサキイガイの脱落要因を把握することもできており,当初の目的をほぼ達成している.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究項目は下記の通り a)海産バイオマスの取り上げ可能量を定量化する b)バイオマスからの堆肥への変換量を定量化する c)堆肥使用による作物栽培可能量を定量化する d)作物からBDFへの転換可能量を定量化する e)海産バイオマスからの循環特性を定量化する
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