研究課題/領域番号 |
22310051
|
研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
尾崎 保夫 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10029308)
|
研究分担者 |
森田 弘彦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10355703)
宮田 直幸 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (20285191)
林 紀男 千葉県立中央博物館, 生態・環境研究部, 上席研究員 (60250156)
岡野 邦宏 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
|
キーワード | 沈水植物 / 植生再生 / 埋土種子 / 八郎湖 / 水質改善 / アオコ / 植生浄化 |
研究概要 |
八郎湖では、毎年、アオコが大量発生し、水道水のカビ臭問題,農業や水産用水としての利用価値の低下など様々な問題が発生し、大きな社会問題となっている。このため、本研究では、八郎湖や八郎湖流域生態系の底質土から現在の八郎湖では消滅している稀産沈水植物の埋土種子を採取し、寒冷な八郎湖に適した沈水植物の発芽・再生法を開発し、秋田県八郎湖環境対策室と共同で八郎湖の水質改善に活用することを目的としている。 八郎湖とその周辺を含む八郎湖流城生態系の37ヶ所で底質土等を採取し、比重分離法で埋土種子を分離・同定すると同時に、大学内の圃場に設置した大型水槽等に埋土種子を撒き出し、沈水植物の発芽再生試験を行った。その結果、6ヶ所で採取した底質土より合わせて11種の水生植物が再生することを明らかにした(馬場目川河口:ホザキノフサモ、野村港:ホソバミズヒキモ、大潟村農村公園:エビモとイトモ、旧船越水道:ミズアオイとカンガレイ、一向池:リュウノヒゲモとタヌキモ、旧湖岸農業排水路:イトモなど)。また、東部承水路に建設した沈水植物再生ゾーン(水深30~40cm)に大潟村農村公園や一向池で採取した底質土をコンテナーに入れて設置したところ、イトモ、エビモ、リュウノヒゲモが発芽・再生することを確認した。また、底質を撒き出す前に短時間の低温処理(6℃で2週間)を行うことにより、対照区(23℃で保持)と比較して発芽効率が2~8倍上昇することを明らかにした。さらに、9号鉢に植栽したリュウノヒゲモ、ホザキノフサモ、ヒロハノエビモなどの沈水植物を水深30~90cmの深さに設置し、各沈水植物の生育に及ぼす水深、光量子量を調査したところ、現在の八郎湖の濁度では約60cmの水深までは生育できることが示唆された。平成23年度は、埋土種子を含む底質士を水深50~150cmに設置できる実験施設を八郎湖に新たに設置し、各沈水植物が発芽・再生可能な水深(必要な光量子量)等を明らかにする予定である。
|