研究概要 |
本研究の目的は船舶用大容量ディーゼル高濃度排ガス処理技術として,捕集困難な電気抵抗値の低いディーゼル微粒子(PM)の再飛散現象を抑制する静電流体補助よる電気集じん装置(EHD ESP)の開発,また,NOx処理においては特殊吸着材を用い,吸着・脱離・濃縮後,高濃度低容量化した排ガスに窒素プラズマを用いて完全還元処理の2つの要素技術を結合させた革新的・経済的PM・NOx高効率同時処理技術を確立する. 船舶用排ガス処理として各種ディーゼルエンジンを用いた風洞実験装置により、改良型EHD ESPを設計・制作し,主電流密度測定,シュリーレンシステムによるEHD ESPの静電流体場の可視化により流体流速と電極,ポケット構の相対電極位置や電極オリエンテーションの影響をSMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)とParticle Counter(PC)を用いてディーゼル微粒子20-5,000nmの粒子径による個数や重量集じん効率の経時変化を評価した.従来型ESPと比較して水平型電極EHD ESPは広範囲は粒子径において再飛散現象の抑制と大幅な高効率集じんを行えることを確証した.また,EHD ESPに沿面放電を結合させたプラズマESPを試作制作し,200ccエンジンを用いて2m/s程度の実験で一段にてPM捕集とオゾンによる燃焼させる新しいプラズマESPの開発に成功した. 一方,NOx処理技術ではモレキュラーシープ13X(孔径10オングストロム)にMn,Cu触媒を担持NO・NO2吸着材を使用し,実ガスを用いて熱交換器の改良と湿度を制御、熱脱離の改善を行うことにより窒素プラズマを用いて2,500ppmNOをほぼ完全に還元できることを確証した.他の要素技術として高濃度NOxをエンジン入り口に循環させ,エンジン入り口NOx濃度に関わらずエンジン出口のNOx濃度が変化しない性質を利用した要素技術を確認し,実用化に向けた最終トータルシステムを検証する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
プロジェクトを推し進める中で,PM捕集と燃焼を同時に行わせる新しいプラズマESPの開発,これは船舶排ガス処理ではPM保存の問題があったが,ストレッジを不要とする新しいコンセプトを持つプラズマESPは革新的優位性のある技術と考えられる.また,NOx処理において循環技術を取り入れた要素技術もトータルシステムとして有益性がある.以上のことから当初の計画以上に進展しているといえる.
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