研究課題
初年度にあたる平成22年度は、アノード支持Gdドープセリア薄膜及びアノード支持Yドープセリア薄膜の合成を行い、得られた膜中におけるアノード/固体電解質界面及びアノード内界面の微細構造の精密ナノ構造解析と、燃料電池発電性能試験を行い、燃料電池内界面構造が、中温作動酸化物燃料電池の性能に与える影響の検討を開始した。アノードとドープドセリア界面では、アノード側からNiが、固体電解質側から、Ceとドーパント元素が、相手側に、同じ距離で拡散しあう"相互拡散"現象が明瞭に観察された。この"相互拡散"の幅は、数十nmの幅をもち、この拡散域内では、第2相の生成はないものの、酸素欠陥が秩序化した超格子構造の形成が、明瞭に確認されたまた、アノード内のNi粒子とドープドセリア粒子界面においても、ほぼ同様な"相互拡散"現象が観察され、このことが、電極内の電荷移動と、イオンの拡散を抑制していることが分かった。しかしこうした相互拡散は、異なる材料の界面においては、必ず起こることであり、それを無くすことはできない。そこで、相互拡散を起こした界面においても、高い電極性能を持たせる取り組みとして、界面にPt-O-Ce結合を有するPt-CeOx電極のアノード及びカソード性能を検討し、相互拡散領域が広がる界面が形成されているにも関わらず、高いアノード性能(プロトン生成反応)及びカソード性能(4電子酸素還元反応)が確認できることを明らかにし、あわせて、この界面構造を精査し、その特徴を明らかにした。来年度は、このヘテロ界面を、燃料電池内に作製し、電極/電解質界面での損失低減をはかるとともに、シミュレーションにより、より詳細な界面欠陥構造の解明を行う予定である。
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