研究課題/領域番号 |
22310055
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邉 賢 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40312607)
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研究分担者 |
スミス リチャード 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (60261583)
相田 卓 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (00466541)
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キーワード | イオン液体 / イオン交換樹脂 / セルロース / グルコース / フルクトース / HMF / マイクロ波 |
研究概要 |
イオン液体-イオン交換樹脂併用系において、セルロース加水分解を経てグルコースを生産し、さらにフルクトースへと異性化させた後、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)合成を連続的に行うためのイオン液体およびイオン交換樹脂の選定について検討を行う。本プロセス開発の検討課題は(1)セルロースのフィード、(2)セルロースの加水分解、(3)グルコースの異性化、(4)フルクトースの脱水、(5)HMFの分離精製、そして(6)連続プロセス提案である。 平成23年度には昨年度から継続的に研究している検討課題1および2について水の効果を確かめるべく検討を進めた。まず検討課題1のセルロースフィードについて、水や二酸化炭素などの可塑剤の添加は効果的であるものの、加える量が過剰となるとセルロースの析出が見られるようになり、反応の不均一化に繋がることが判明した。続いて、検討課題2のセルロース加水分解について固体触媒をAmberlystに固定し、加熱源としてマイクロ波を用い、グルコースを出来る限り高収率・高選択的に合成することを目指した。水が枯渇すると副生成物であるフミン生成が見られるため、過剰量の水が必要であることを見出した。しかしながら、粘度を測定した場合と同様に過剰の水はセルロースの析出を招き反応性を低下させることも明らかになっており、反応にて消費する水と、粘度および生成物安定性を確保する水とをバランスさせながら加水分解を行う、水を逐次的に添加する方法が有効であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セルロースからグルコースへの加水分解が9割近い収率・選択率で進むことが明らかとなってきている。グルコースから異性化を経てフルクトースを生成させ、脱水によりHMFを合成することに関しては、グルコースの選択的合成が下流の成否を左右する難関であったため、2年目でグルコース高選択生成の目処が立てることができほぼ予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本検討において残された課題はグルコースからフルクトースへと促しながら、効果的にHMFへと脱水させることであるが、それには従来から検討しているAmberlystといった酸触媒にわずかな塩基性を持たせることで達成できる可能性がある。酸触媒への塩基の導入に注力し、最終年度の目的を達したい。
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