研究課題/領域番号 |
22310057
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
瀬名波 出 琉球大学, 工学部, 准教授 (70253945)
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研究分担者 |
小西 照子 琉球大学, 農学部, 准教授 (30433098)
平良 東紀 琉球大学, 農学部, 准教授 (60315463)
玉城 史朗 琉球大学, 工学部, 教授 (80163666)
平岡 雅規 高知大学, 教育研究部総合化学系, 准教授 (30380306)
小田 拓也 東京工業大学, ソリューション研究機構, 特任准教授 (20505929)
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キーワード | 環境技術 / 循環再生加工 / 二酸化炭素削減 / 藻類養殖 / バイオ燃料 |
研究概要 |
本研究は、火力発電所やゴミ焼却施設等の化石燃料(石油、石炭、天然ガス等)を大量に使用する大型施設または大型化学プラントなど生産物工程上から排出される大量の二酸化炭素を、沖縄の豊富な日射量と高い海水温を活用して高効率に、海洋性藻類を増殖させて回生(植物に吸着固定させ、再利用する)させるシステムを開発することを目的として実験的研究を行った。 平成23年度は,二酸化炭素の無気泡溶解方式による削減実験として,火力発電所からの排ガスに加えて,新たに下水処理施設で汚泥から発生する消化ガス(メタン発酵ガス)を用いた。消化ガスについては,メタンと二酸化炭素の比率が約6:4程度であり,比較的多量の二酸化炭素を有する.そのためバイオマス燃料としての価値が低くなっている.この消化ガスから二酸化炭素を分離溶解することで,二酸化炭素の削減と同時に高品質メタンガス(バイオガス)の製造を試みた.その結果,消化ガス生成時は45%濃度から濃度89%のメタンガス化に成功した. つぎに高濃度二酸化炭素含有海水を用いた海藻養殖については,沖縄に向いた海藻として「海ブドウおよびオゴノリ」を用いた。その際、海藻類高効率培養に関する最適条件として温度・pH・O2・CO2・光量等、種々のパラメータによる影響を計った。その結果,二酸化炭素濃度を高濃度にした海水で、海ブドウの場合で通常の約1.9倍、オゴノリの場合で約3.5倍もコントロールである二酸化炭素を付加しない海水で育てた海藻より成長することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で培養する海藻について,種類(緑藻,紅藻,褐藻)について検討した.その際,それぞれの種類の海藻について培養方法,二酸化炭素付加濃度等が非常に異なった.そのため本研究に適した海藻の選択に予定より時間がかかった.またこれから行う予定の海藻周りの流れ場の影響を測るには,比較的大きな水槽の使用が必要なため,それらを設置可能な実験室拡充に時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
まず水流制御が可能な培養水槽の設計・製作を行う.つぎにその水槽を用いて海藻培養を行う.その際に光学的手法により海藻周りの流れ場を可視化し,その画像をもとに海藻周りの流れの状態解析を行う.またこれらの水槽設計・製作・培養実験による水槽内流れのコンピュータシミュレーションも同時に平行して行う.以上より,海藻周りの流れ場が,海藻の生長にどのように影響を与えるのかを調べる. 一方,海藻の有効利用についても調査および糖化.発酵および工業製品化実験を行い,その活用方法の開発も行う.
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