外部共振器型波長可変レーザの発振線をInAs量子ドット、量子ホール電子系の共鳴吸収線近傍に同調し、そのカー回転揺らぎのホモダイン検波信号を高速デジタイザーとFPGAによりリアルタイムFFT変換する計測システムを構築した。 単一ドットでの磁気共鳴揺らぎを計測には、光学窓付きクライオスタットの中に通常の高NAの対物レンズを用いる光学系配置する顕微分光システムを構築し、単一量子ドットの発光測定を行えるようにした。また、同一スポットで波長可変レーザを用いて、個別量子ドットの反射・吸収測定が行えるように半球ソリッドイマージョンレンズを用いることによりサブマイクロメータースポットでの計測が行えるようにした。しかしながら、測定環境の振動、空調が外部共振器レーザに与える擾乱が大きく、単一量子ドットの吸収測定、磁気共鳴揺らぎの観測までには至らなかった。現在、レーザのケーシング、防振対策による波長可変レーザの安定化、更には、光学ブリッジと差分光検知器を用いることによりレーザ出力の揺らぎの相殺するシステムの構築を進めている。 極低温・強磁場での測定が不可欠な量子ホール系での磁気共鳴測定に関しては、別に、偏波面保存ファイバーを用いるカー回転揺らぎ測定システムを開発した。このシステムは室温では良好に動作したが、実際に低温に冷やすと用いていたレンズファイバーが応力により複屈折を生じ、低音での干渉計測には使えないことが判明した。現在、代替案の検討を進めている。
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