研究課題/領域番号 |
22310065
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木塚 徳志 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10234303)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 単一分子素子 / 走査プローブ顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / その場観察 / フラーレン / ナノカーボ / ナノギャップ |
研究概要 |
本研究では、単一分子デバイスの主構成素材である各種フラーレン分子の合成と、原子直視顕微鏡内における単一分子デバイス作製と構造・物性評価に分けて、以下に示すように開発を進めた。 まず、単一分子デバイスの主構成素材である各種フラーレン分子を合成した。申請者がこれまで開発してきた液一液界面析出法を用い、C_60、C_70等の基礎的なフラーレン分子を原料にして、繊維状のフラーレン結晶である純フラーレンナノファイバー・ナノチューブと金属元素固溶フラーレンナノファイバーを合成した。これらの繊維状結晶を熱処理して、ナノメートルサイズの殻状カーボンフラーレン分子(カーボンナノカプセル)を作製した。また、ガス中蒸発法を用いて、同様な分子を合成した。原子直視顕微鏡の試料室で、金属ナノチップを操作し、各種ナノカーボン分子の一つをチップの間に挟み、金属/単一分子/金属接合構造を作製した。この作製過程を高分解能透過電子顕微鏡格子像法により、その場で観察し、その原子ダイナミックスと最終的に形成された原子配列を調べ、これらのデバイス形成の機構を調べた。本研究では、フラーレン分子観察に対応するように操作間隔を狭くし、また、分子に高い電圧が印加できるように装置を改良した。単一分子接合構造の作製後に、単一分子と金属電極間の強度は十分であり、室温において十分安定な構造であることを明らかにした。これらにより、単一分子接合素子の構造と特性を解析するに礎を築いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の目的は、単一分子接合デバイスの中核となる、フラーレン分子、特に巨大なフラーレン分子であるカーボンナノカプセルを合成することが中心である。各分子の合成条件が把握でき、この目的が十分に達成された。
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今後の研究の推進方策 |
合成する巨大フラーレン分子の種類を増やし、形状・粒径をより高度に制御し、多彩な単一分子接合素子が作製できるようにする。分子を挟む金属電極にも注目し、電極間のギャップ(間隔)と先端の形状とサイズを分子レベルにまで微細化することを試みる。
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