研究課題
申請者は、透過電子顕微鏡(TEM)および走査透過電子顕微鏡(STEM)のための高傾斜3軸試料ホルダーを世界で初めて開発し、転位をはじめとする結晶内部ナノ構造の3次元可視化技術を大きく進展させた。本研究では、球面収差(Cs)補正機付TEM/STEMのレンズ系調整を試料交換なしに行える機能を上記ホルダーに付与するとともに、熱膨張による試料ドリフトを抑える改良を施し、将来の超高分解能3次元TEM/STEM観察に対応できる新規高傾斜3軸試料ホルダーを開発することを目的としている。本年度は、過去に作製した高傾斜3軸試料ホルダーを基にして、Cs補正TEM/STEM対応型の高傾斜3軸試料ホルダーを製作した。具体的には、(1)Cs補正レンズ系調整用の非晶質試料を観察試料の隣に取り付けた試料ステージ及び観察位置移動機構の設計と製作、(2)熱膨張による試料ドリフトを抑えるための各部材の材質と形状の変更、を連携研究者と共に検討、実施した。製作した試料ホルダーを用いて、九州大学ならびに共同研究先のベルギー・アントワープ大学において、鉄鋼材料中の転位組織の3次元トモグラフィー観察を行った。まず、非晶質試料を用いたレンズ系調整が試料ホルダーの抜き差しをせずに行えることを確認した。次に、過去に作製した試料ホルダーに比べて試料ドリフトや試料傾斜に伴う試料移動の量が減少していることがわかった。結果として、より短時間に、かつ、精度良い回折条件の設定が可能となり、3次元転位像の取得が容易になるとともに画質と分解能の向上につながった。
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