天然糖鎖のらせん構造をナノサイズ直径の精密なスプリングとして捉え、糖鎖表面で起こる分子の自己集積/解離過程を糖鎖らせん構造の変化と連動させることで、伸縮運動を繰り返す半人工ナノスプリングの創出を目的として研究を行った。まず、ナノスケールでの分子運動をマイクロスケール鎖長の糖鎖表面で連動させることにより増幅し、マクロな運動へと変換する必要がある。ピリジンのクロロフィル中心亜鉛への配位がスタッキングの抑制に有効であるというこれでの知見を基に、異なるスペーサー長、光異性化機能などを持つ様々なビピリジン誘導体を添加してクロロフィルのスタッキングを抑制すると同時に、分子構造に起因したらせん構造のチューニングについて検討を行った。カードランらせん構造の伸縮運動の評価は各種スペクトル測定に加え、AFMにより直接判断をした。その結果、配位子の長さを変化させることによりクロロフィル由来のスペクトルが変化し、配位子のクロロフィルへの配位が確認された。さらに、カードラン主鎖のコンフォメーションが、ピリジンを添加した場合と比較して、変化していることがAMFによる観察で確認された。
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